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「業績の悪化」が原因での減給は妥当?労働条件変更について解説

更新日:2024年01月30日
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昨今、業績の悪化が原因で廃業する会社は増えている傾向にあります。
業績が悪化したときのひとつの対処法は、従業員の賃金をカットすることです。

しかし、これは従業員に多大な不満を抱かせることにつながり、社内全体の生産性やモチベーションが大いに下がることもあります。
本記事では、業績悪化時の賃金カットについて考えてみます。

労働条件はどのように決まる?

労働契約は、労働者と使用者の間で結ばれる「契約」です。
そして、その内容は当事者が自由に決められます。これを「契約自由の原則」と呼びます。
ただ、契約自由とは言え、実際は使用者側にとって自由なのです。

交渉力に乏しい労働者は、使用者と対等に契約内容の話し合いをするなど困難です。
仮に話し合いをしたところで規模の大きい方の意見が通るのは、想像できるでしょう。

労働条件を支えるもの

そこで助け船を出すのが、労働基準法(労基法)です。
労基法は、賃金や労働時間などの労働条件について、全国の最低基準を定めた法律です。

この法律に違反した契約内容は無効となり、労基法の基準に置換されます(労基法13条)。

例えば、1日10時間働くといった契約を定めても、労基法32条の基準である1日8時間に置き換えられます。
さらに労働組合が会社と締結する「労働協約」も、労働条件を決めるもののひとつです。

労働協約は就業規則よりも優位となります(労働基準法第92条)。
なぜなら、就業規則は使用者が一方的に作成するものですが、労働協約は使用者と労働組合が対等の立場で決めたものであるためです。
したがって、労働協約に違反する就業規則や労働契約は、その部分が無効となります。

例えば、月給について、労働契約では20万円、就業規則では18万円と定めていた場合も労働協約で16万円と定めたらその労働者の月給は16万円になります。
もし労働協約がなければ労働者に有利なものが適用され、労働協約がある場合は有利不利を問わず労働協約の規定が適用されます。

使用者(会社)が労働条件を変更する手段は?

使用者が労働条件を変更したいときには、労働契約・就業規則・労働協約のいずれかを使い、新たな労働条件を定めます。

労働者にとって有利に変更する場合は何の争いも生じません。
そして、労働協約は有利・不利のどちらでも優先するためここでは、不利益に労働契約・就業規則を変更する場面で検討しましょう。

労働契約は、労使間の合意による「契約」です。したがって、双方で合意をすれば、その契約内容を変更可能です(労契法8条)。
しかし、会社規模が大きいほど、多くの労働者一人ひとりと個別に合意するとなれば労力も掛かります。

そのため、今度は就業規則を用いて労働条件を変更することを検討します。

就業規則による不利益変更は原則不可

労契法9条では、就業規則について
「使用者は、労働者と合意することなく、就業規則を変更することにより、労働者の不利益に労働契約の内容である労働条件を変更することはできない」と規定しています。
これは、「原則として就業規則を不利益変更するだけでは労働条件を変更できません」という意味です。

ただし、この例外として労契法10条があります。

「使用者が就業規則の変更により労働条件を変更する場合において、変更後の就業規則を労働者に周知させ、かつ、就業規則の変更が(中略)合理的なものであるときは、労働契約の内容である労働条件は、当該変更後の就業規則に定めるところによるものとする」という条文です。
要約すれば、就業規則によって労働上意見を変更する場合は以下の2要件を満たす必要があるということです。

  1. 変更後の就業規則を周知させること
  2. 就業規則の変更が合理的であること

不利益変更が認められるケースとは

では、要件のうち②の「合理性」があるかはどのように判断されるのでしょうか?

これは、裁判例の蓄積にならい、主に下記5点が判断要素となっています。

  • 個々の労働者が受ける不利益の程度
  • 会社が労働条件を変更しなければならない必要性
  • 変更後の就業規則の内容自体の相当性
  • 変更に際して労働者側との間で講じた手続き
  • その他の就業規則の変更にかかる事情

変更の合理性は、事例ごとに上記の要素を総合的に考慮して判断されます。そのため、個別の事案における合理性判断はケースバイケースとしか言いようがなく、予測ができません。

しかしながら、例えば会社が倒産しそうなほど危険な状態であれば、従業員の給料をある程度大幅に減らすことも認められます。

また、倒産の危険性はなくても経営改善しなければならないなら、認められる給料の減額幅は小さくなります。
これに対し、例えば「会社の経営に問題はないが経費削減のために計画的に給料を下げたい」という場合は合理性がないので認められないでしょう。

会社の経営状態と比べて給料の減額幅が大きい場合は、その就業規則の変更が無効になる可能性が大きいですが、最終的な判断は裁判所に委ねることになります。

就業規則の不利益変更が不当なのでは?と感じたら、弁護士に相談しよう

もしご自身の会社にて、「就業規則の不利益変更が不当なのでは?」と感じたら、弁護士に相談しましょう。
弁護士であれば、法律のプロとしてさまざまな疑問に答えてくれます。
しかし、やはり弁護士費用の負担が心に引っ掛かる方も多いでしょう。

そのような方におすすめなのが、ベンナビ弁護士保険です。
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通常であれば弁護士を利用してトラブルの解決を試みると、数十万から数百万単位もの高額な費用が必要になります。
しかし、弁護士保険に加入しておけば、法的トラブルが発生した場合に弁護士を利用しても支払額を抑えられます。
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編集部

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