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残業代請求をする際の内容証明郵便の書き方

更新日:2022年02月24日
残業代請求をする際の内容証明郵便の書き方のアイキャッチ

 「誰が、誰宛てに、いつ、どんな内容の書類を出したのか」ということを、郵便局が公的に証明する内容証明郵便。
 そのため、内容証明郵便は、重要な書類を送付される際に利用されるケースが多いです。
 労働者が会社に対し、未払いの残業代を請求する際も、一般的に内容証明郵便が利用されます。内容証明郵便は注意点が多いため、弁護士に依頼する方も多いですが、費用の面を考慮すると、自身で行った方がよいです。
本記事では、自身で行うために知っておくべき内容証明郵便の知識をお伝えしたいと思います。

内容証明郵便と消滅時効の中断

 本来、未払い残業代の請求は、普通郵便で請求書を送ったり、メールで送信したりすれば事足ります。にも関わらず、なぜ残業代請求をする際に、内容証明郵便を利用するのが一般的なのでしょうか。
 それは、内容証明郵便には消滅時効の中断効果があるためです。

 残業代請求には2年の時効があります。残業代が本来支払われるはずだった給料日から2年(※法改正により、2020年4月以降に支払われる予定の残業代については時効は3年)が経過すると、時効が消滅して、残業代を請求出来なくなります。
 但し、催告を行うことで半年間、時効を中断することが可能です。内容証明郵便は、その催告の効力を持つのです。

 実は、催告は口頭でも有効とされているので、会社に未払い残業代を請求する旨を伝えれば、時効は中断されます。
 しかし、口頭で伝えると、「いつ、誰が、どのような内容」を伝えたか、客観的に分かる証拠がありません。もし、裁判等になった際に、不利になるおそれがあるのです。

 そこで、残業代請求では、「いつ、誰が、どのような内容で」を証明出来る内容証明郵便が利用されるのです。

 なお、時効が止まっている6ヶ月の間に、裁判手続に移行すれば、その期間中は時効が中断されます。

作成前に押さえておくべきポイント

 内容証明郵便の効果をご理解していただいたところで、次に、作成前に押さえておくべきポイントについてお伝えします。

■用紙
 用紙は、A4サイズが一般的です。用紙の種類は問いません。

■手書きorパソコン
 手書きとパソコンどちらでもOKです。

■様式の制限
 内容証明郵便は、以下のように字・行数の制限が設けられています。

区別 字・行数制限
縦書き ・1行20文字以内、1枚26行以内
横書き ・1行20文字以内、1枚26行以内
・1行13文字以内、1枚40行以内
・1行26文字以内、1枚20行以内

 句読点も文字数にカウントされます。なお、枚数には制限ありません。

■封筒
 封筒は、書面を折らずに入れられるサイズの封筒がベターです。オススメのサイズは、角形2号です。

■3部用意する
 内容証明郵便は、自身用、宛先用、郵便局用の3部を作成しなければなりません。同じ内容が書かれたものを3部用意してください。

■複数枚の場合は割り印
 内容証明郵便が複数枚になる場合は、ページの偽造対策として印鑑を押します。その際は、ページをまたがるように割り印を押します。

■内容証明以外は同封出来ない
 内容証明郵便で封入出来るのは、内容証明の文書1通のみと定められています。未払い残業代の計算書や証拠書類等を同封することは出来ません。
 それらの書類を送付したい場合は、別途で送付してください。

■封筒の封は閉じない
 内容証明郵便の手続をする際は、郵便局がチェックを行います。ですので、封を閉じずに郵便局へ持っていきましょう。

内容証明郵便に書く内容

 続いて、内容証明郵便に書く内容についてお伝えします。

【内容①】勤務していた期間

内容証明郵便には、残業代が未払いになっている期間を記載する必要があります。その前提として、はじめに勤務していた期間を記載します。

 内容証明郵便の書き出しに、「〇〇年〇〇月〇〇日から〇〇年〇〇月〇〇日まで貴社に勤務していた者です」といったように、自身が勤務していた期間について記載します。
 現在も在職中の場合は、「〇年〇月〇日貴社に入社し、現在も貴社に勤務している者です」と文を綴りましょう。

【内容②】請求内容

 次いで、請求する内容を書いていきます。
 具体的には、残業代が未払いになっていた期間、未払い残業代の合計の時間・金額を記入します。

【内容③】支払い期限・振込先

 最後に、支払い期限と方法、振込先を記載します。
 支払い期限は1~3週間程度を目安にするのがベターです。
 支払い方法は、振り込みにするのが一般的です。未払い残業代を支払ってもらう振込先を正確に記載しましょう。

内容証明郵便のフォーマット

 内容証明郵便を作成する際は、以下をフォーマットにして作成してみてください。

株式会社〇〇〇〇
代表取締役〇〇〇〇殿拝啓私は、○○年○○月○○日から○○年○○月○○日まで貴社に勤務していた者です。○○年○○月○○日から○○年○○月○○日までの間、合計○○時間の時間外労働に従事しましたが、未だそれらに対する正当な賃金をお支払い頂いておりません。
そこで、私は、貴社に対し、上記時間外労働に対する賃金○○円の支払いを請求いたします。
つきましては、上記金員を本書面到達後14日以内に、○○銀行○○支店 ○○預金 口座番号○○ 口座名義人○○○○ に振り込む方法によってお支払いください。万一、上記期限までにお支払いいただけない場合には、法的手段をとることになりますので、あらかじめご了承ください。

草々

(氏名)〇〇 〇〇

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