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契約・派遣社員の権利とは?妊娠による解雇や有給休暇なしは違法?

更新日:2024年01月30日
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現在は、育児をする女性も働きやすい環境が整えられています。
ただし、仕事上のトラブルや悩みを抱えている契約社員や派遣社員の女性が多く居るのも、事実です。例えば「妊娠・出産のあとに職場復帰しづらい雰囲気がある」というのも、よくあります。

しかし、実は契約社員や派遣社員にも主張可能な権利があります。

そこで本記事では契約社員や派遣社員の女性が注意すべきことを紹介します。ぜひ参考にしてください。

妊娠を理由に契約を打ち切られる?

妊娠したことを理由に契約を突然打ち切られて妊娠や出産休暇を取得することができず、そのまま退職せざるを得ないというケースがみられます。

しかし、このようなことは本来あってはいけません。
妊娠・出産、産休の取得が理由で解雇になれば、これは男女雇用機会均等法や労働基準法などに違反します。
労働基準法では、産前(6週間)と産後(8週間)は休業することが認められています。
また、産休中は雇用契約を中断するべきではなく「使用者は労働者を就労させてはならない・労働者は就労の義務が免除されている」という解釈が適切です。

妊娠中の不当解雇はマタハラになる可能性も

妊娠や出産を理由として解雇することは、マタハラとして認められる可能性があります。
マタハラ(マタニティハラスメント)は、雇用形態を問わず働く女性が妊娠・出産・育児に関して職場の上司や同僚から嫌がらせを受けて就業環境が妨害されるハラスメントです。

また、妊娠・出産を理由に、自主退職の強要、嫌がらせや減給、休業制度の利用を妨害する行為もマタハラにあたります。正しい知識を身に着けていれば、不当な契約打ち切りなどにあっても泣き寝入りすることはなくなるかもしれません。ご自身を守るためにもきちんと正しい知識を入れておきましょう。

妊娠・産休中の給料はどうなる?

派遣・契約社員も、健康保険に加入しているのであれば産休中の休業補償として、出産手当金や出産育児一時金を受け取れます。
「出産手当金は産前休業に対応する42日(6週間)と産後休業に対応する56日(8週間)について標準報酬の60%」「出産育児一時金は出産費用に応じた特別な給付として35万円が支給される」などと細かく設定されています。

しかし、実際のところ産休中の休業補償は、勤務先の加入されている健康保険組合により詳細が異なります。
そのため、契約・派遣社員として勤めるときは事前に補償や福利厚生についてよく確認しておくことが重要です。

派遣・契約社員も有給休暇はもらえる?

派遣・契約社員も有給休暇は取得できます。
有給休暇を使った日は、原則としてその日に働いてたらもらえるはずの給料、もしくは平均的な給料が支給されます。

年次有給休暇は正社員だけの制度ではありません。労働基準法に基づく権利です。
したがって社内に有給休暇を取得してる人がいなくても、取得できます。

ただ、もちろん条件はあり、6ヶ月間継続して勤務し勤務が予定された日のうちの8割以上出勤した場合にのみに限定されます。
この条件を満たしているのに、雇い主が有給休暇の取得を認めない場合や取得したことを理由に不利益な扱いをする場合は、違法です。

解雇で泣き寝入りするのは間違い?

経営不振による人員削減・部門の廃止など、経営上の必要性を理由に解雇を実施するのを「整理解雇」といいます。

これについては、複数の裁判例を通じ、有効になる要件として、下記4つの要件が確立しています。

  1. 人員整理の必要性が存在すること
  2. 解雇を回避するための努力が尽くされていること
  3. 被解雇者の選定が客観的合理的な基準によってなされたこと
  4. 労働組合または労働者に対して事前に説明し、納得を得るよう誠実に協議を行ったこと

常軌の要件はどう適用されるのか、具体例として平成23年1月25日横浜地方裁判所判決をみてみましょう。
本事例は、人材派遣会社が待機社員にした整理解雇を「無効である」と判断した事案です。

裁判所は、まず「整理解雇は、労働者の私傷病や非違行為など労働者の責めに帰すべき事由による解雇ではなく、使用者の経営上の理由による解雇であって、その有効性については、厳格に判断するのが相当である」という視点を明らかにしたうえで整理解雇の有効性の判断にあたっては下記4要素を考慮すべきとしました。

  1. 人員削減の必要性
  2. 解雇回避努力
  3. 人選の合理性
  4. 手続の相当性

本事案では、1~3が認められませんでした。そして、客観的合理的理由及び社会的相当性もみられないため無効と判断しました。
このように、実は派遣・契約社員でも主張できる権利は多くあるのです。

妊娠中に不当な扱いを受けたら?

妊娠中に不当な扱いを受けたときの対処法は、下記になります。

今後も働く意志があるなら、要求に応じない

妊娠しても落ち着いた後に再びその職場で働く意志がある場合は、会社からの契約解除や退職要求に応じてはいけません。

妊娠や出産、育児期間の間はきちんと法律に守られています。万が一会社がそのような要求をしてきた際にそれは違法行為であると主張すれば、結果が変わる可能性があります。

退職するなら失業保険の手続きをする

もし妊娠や出産を機に退職を希望する場合は、失業保険の手続きもしましょう。

失業保険の申し込みは、ハローワークにてできます。失業保険を受給するには条件がありますが申請は可能です。ご自身が条件を満たすかはハローワークに直接問い合わせてみましょう。

対応に悩んだら専門家へ相談する

会社に不当な扱いをされて悩んだら、専門家へ相談するのも重要です。
そもそも、妊娠を理由に契約打ち切りを強要されて納得できる人はあまりいないでしょう。

結果的に再びその職場で働いても、不当な扱いを受けた事実があれば気持ちよく働くのは難しくなることもあります。
このようなときにご自身の力で解決するのも選択肢ですが、労働組合や弁護士に話を聞いてもらうのは非常に有効です。

特に、労働トラブル分野を得意とする弁護士へ相談すれば、慰謝料請求や、会社との交渉もすべて任せられます。このような手続きを自力でするのは多大な負担となるので、法律の専門家である弁護士の力を借りるのは有効です。

妊娠中に不当な扱いを受けたらすぐに相談を

職場での不当な扱いに疑問を持ったら、なるべく早くに弁護士へ相談することを考えましょう。
特に、妊娠中に精神的負担を抱えるのはよくありません。そのため、必要であれば、ぜひ弁護士のサポートを受けてください。弁護士が不安を解消してくれます。
ただし、弁護士費用の負担が心配な方もいるでしょう。

そのような方におすすめなのが、ベンナビ弁護士保険です。
弁護士保険とは、個人的なトラブルや事業活動で発生した法的トラブルに対して、弁護士に相談した際にかかってくる費用を補償する保険サービスです。

通常であれば弁護士を利用してトラブルの解決を試みると、数十万から数百万単位もの高額な費用が必要になります。
しかし、弁護士保険に加入しておけば、法的トラブルが発生した場合に弁護士を利用しても支払額を抑えられます。
気になる方はぜひ、ベンナビ弁護士保険をチェックしてみてください。

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編集部

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