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株主代表訴訟とは?訴訟の範囲や追求できる責任を解説

更新日:2024年01月30日
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株主代表訴訟とは、会社役員の意思決定や行動により会社に対して損害を与えたにもかかわらず、会社がその責任を追及しない場合に、株主が会社に代わって会社の責任を追及する訴訟のこと

本記事では、株主代表訴訟とは何かを解説し、訴訟が起こせる人や追求できる責任を解説します。

株主代表訴訟とは

株主代表訴訟とは、会社役員の意思決定や行動により会社に対して損害を与えたにもかかわらず、会社がその責任を追及しない場合に、株主が会社に代わって会社の責任を追及する訴訟のことです。

具体的には、会社役員が善管注意義務や忠実義務に違反する行為を行ったことによって会社に損害が生じた場合に、株主が会社を代表してその役員の責任を追及することができる制度を指します。

株主代表訴訟の目的は、会社役員の経営判断の誤りによる会社への損害を回復し、会社経営の健全化を図ることです。

株主の権利を保護し、企業のガバナンス(企業統治)を強化することにも寄与するでしょう。

株主代表訴訟で要求できること

株主代表訴訟で要求できるのは、会社に与えた不利益に対する賠償責任のみです。

役員を解任したり辞任に追い込んだりすることはできません。

そもそも、会社役員や取締役を解任するには、株主総会で決議が可決される必要があります。株主代表訴訟で一方的に解任することはできないのです。

株主代表訴訟を提訴する期間

株主訴訟を行うには、60日間という検討期間があります。

株主代表訴訟をするには、株主が会社に対して役員や取締役に賠償請求をするよう申し出る必要があります。

申し出を受けた会社側は、その役員や取締役に事実調査を行い、訴訟を起こすべきかを60日以内に判断しなければなりません。

株主代表訴訟は大株主じゃないと提訴できない?

株主代表訴訟は、持ち株の量に関係なく起こせます。

持ち株が少なくても、6ヶ月前から株を保有していれば株主代表訴訟を起こせるのです。

大株主だからといって訴訟が有利になることもないので、理解しておきましょう。

株主代表訴訟は役員や取締役のどのような行為に対して訴訟を起こせるの?

株主代表訴訟で追及できる責任は、以下のような行為が挙げられます。

  • 利益相反取引
  • 法令違反
  • 重大な経営判断の誤り
  • 不正経理、横領、贈賄、背任

これらの行為は、いずれも会社に損害を与えるおそれがあるため、株主代表訴訟の対象となる可能性があります。

直接責任のない取締役に対して責任を問うことはできる?

もし、直接責任のない取締役に対して訴訟を提起したい場合はどうすればいいのでしょうか。

結論、直接的な行為をしていない役員や取締役にも同じ責任を課すことができます。

このようなケースが発生するのは、会社の協議会に出席し、その決議に賛同した取締役や役員に対して責任を追求したいパターンが挙げられるでしょう。

注意すべき点は、その決議に異議を述べた役員や取締役がいる場合は、責任を負わされることのないようにしなければならないことです。賛同していないという旨を証明すべく、議事録にきちんと記録しておく必要があります。

株主代表訴訟の責任は裁判所で必ず認められる?

株主代表訴訟を起こせば、裁判所では必ず認められるものなのでしょうか?

裁判所が判断するポイントは「経営判断が明らかに間違っている場合」と「違法行為が発生している場合」です。

経営判断に関しては、倒産が怪しい会社と取引を行ったときが分かりやすいでしょう。違法行為は、シンプルに賄賂や脱税といった法律に反する行為が挙げられます。

ただ、経営判断については役員や取締役の責任が認められにくい可能性があります。
そもそも、自社をわざわざ不利な状況にしようと行動する人はいません。

結果的に判断が間違っていたからといってそこに悪質性がないことが多く、判断した人がすべて悪いかといったらそうとは言い切れないのです。

最終的な判断は、裁判所に委ねられるでしょう。

株主代表訴訟を提起した株主にも責任が発生する?

株主代表訴訟を起こした株主側にも、責任が発生する可能性があります。

株主側に責任が発生するケースは、不適法な訴えがあった場合です。

たとえば、株主が会社に嫌がらせ目的で訴訟を起こそうとした場合や、自分が不正利益を得ようとする場合です。

当然ですが、このような目的での訴訟は却下されます。

さらに、不適法な訴えを起こした株主は、取締役や役員から損害賠償請求の反訴をされる可能性があるでしょう。

株主側は、株主代表訴訟で不当な訴えをしないよう注意しなければなりません。

株主代表訴訟に費用はいくらかかる?

株主代表訴訟の費用は、以下のようなものがあります。

  • 印紙代:13,000円
  • 訴訟費用:裁判所に提出する書類の作成や、証拠の収集・保管、裁判所への出廷などの費用
  • 弁護士費用:弁護士に依頼する場合の費用

弁護士に依頼する際は、弁護士への相談費用・着手金・報酬金がかかってきます。

弁護士費用は、弁護士にもよりますが最低でも数十万円を見積もっておく必要があるでしょう。また、事案によっては数百万になる可能性もあります。

訴訟を起こされないよう会社側は何に注意すべき?

会社側としては、株主代表訴訟を起こされないように以下の点に注意した方がいいといえます。

  • コンプライアンス遵守の徹底
  • 経営判断を適正に下す
  • 違法行為の防止対策

会社は、自社に損害を与えないように普段の経営を慎重に行う必要があります。
もちろん、違法行為を防止する対策を立案する必要があります。

違法行為はあってはなりませんが、万が一の備えとして顧問弁護士を雇うか、弁護士保険を利用しておくと安心でしょう。

まとめ:会社経営に関する法的トラブルで悩んだら弁護士への相談を視野に

会社側は、自社に損害を与えないよう経営方針を打ち立てる必要があります。
しかし、万が一会社に不利益を与えてしまったり、思いもよらない法的トラブルに巻き込まれてしまった場合は、株主から訴訟を提起される原因となってしまいます。

こうしたトラブルに見舞われないためにも、法律の専門家である弁護士のサポートを受けながら経営を進めてみることをおすすめします。

弁護士に相談する前に、弁護士費用が不安な方はベンナビ弁護士保険の利用を視野に入れてみましょう。

この記事の著者

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編集部

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