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退職代行会社は弁護士法違反?依頼するなら弁護士事務所がオススメ

更新日:2019年08月13日
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人手不足が叫ばれる昨今、時間とコストをかけて育った従業員が退職することは企業にとって非常に痛手です。そのため、従業員の退職を拒絶する企業は多いようです。
 対して、労働者側からは次のような声が多く上がっています。

「退職届を出したのに、強引な引き止めに合い受理されない」

しかし、会社の許可がなくても退職をすることは可能です。それについて、民法第627条では以下のように定められています。

民法第627条第1項
当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。

以上を要約すると、「雇用期間の定めがない労働者が、会社に辞職の意思を伝えた場合、2週間後に退職をすることが出来る」となります。つまり会社には、辞職の意思を明らかにした労働者を引き止める強制力はないのです。
 にも関わらず、以下を理由に退職をしない労働者が多々います。

「働き始めたばかりで言い出しにくい」
「人手不足で退職を言い出しにくい」
「強引な引き止めに合う」

 そんな退職に対する労働者のジレンマを解決に導くために始まったサービスが「退職代行なのです。
 ところが、そんな「退職代行」が弁護士法違反なのではないか、と疑われているのです。

2種類の退職代行業者

 一口に退職代行と言っても、2種類の退職代行業者が存在します。
退職代行サービスを行っているのは、退職代行会社と弁護士事務所です。両者のサービスはどのような違いがあるのでしょうか。
 表にして比較してみると下記のような違いが見られます。

  退職代行会社 弁護士事務所
費用 30,000~50,000円 50,000~65,000円
退職金や有給休暇等の請求
書類作成
転職支援 ○(会社のよる) ×

対応しているサービスは限られるものの比較的安価な退職代行会社。対して、費用は割高だが、手厚いサービスが受けられる弁護士事務所。なぜこのような違いがあるのでしょうか。
それには弁護士法が大きく関わっているのです。

弁護士法とは

 弁護士法とは、弁護士の職責の重大性を鑑み、その地位の向上を目指して制定された法律のことをいいます。
 弁護士法では主に、弁護士の使命・職務・資格・登録・権利義務について定められています。
 その中の、権利義務に関わる「非弁護士の法律事務の取り扱いの原則的禁止」という項目が根源になって両者の違いが生じているのです。

独占業務と弁護士法違反

 弁護士法72条では「弁護士でない者は報酬を得る目的で法律事件に関して鑑定、代理、仲裁もしくは和解その他の法律事務を取り扱うことが出来ない」といった内容の規定があります。
 つまり、法律を介して報酬を得る行為は弁護士のみが許されている独占業務なのです。具体的には下記の業務がそれに当たります。

・法律相談
・法律に関するアドバイス
・退職届等の書類代行
・法律が関わってくる交渉

 また、弁護士以外の者が、法律を介して報酬を得る行為のことを非弁行為といいます。非弁行為は弁護士法違反の対象になり罰せられる可能性があります。

退職代行会社と非弁行為

 一般的に、退職代行会社には弁護士はいません。そのため、退職代行会社は非弁行為にならないよう、サービスの範囲が限られているのです。
 退職代行会社が行えるのは、本人に代わって退職の意思を伝える行為のみになります。

退職代行会社に退職代行を依頼するデメリット

 そのため、退職代行会社に退職代行を依頼すると次のようなデメリットが考えられえます。

【デメリット①】交渉が出来ない

 退職に関しては、次のような問題も付随しているケースが少なくありません。

・残業代が支払われない
・上司や同僚からパワハラ・セクハラ被害を受けている

 退職代行を行っているA法律事務所によると、依頼者の多くはそのような問題の交渉も必要になるケースが多いそうです。
 退職代行会社は上記のような交渉に応じると非弁行為に当たる可能性があるため、対応が出来ません。

【デメリット②】退職の取り消し

 また、退職出来たとしても非弁行為が発覚した場合、退職が無効になる可能性があります。
そもそも退職代行を利用する時点で退職は円満ではないと言えます。にも関わらず、退職の意思を伝えるという行為には少なからず「交渉」の要素が発生するという見解も出来ます。ですので、非弁行為に当たる可能性はあり得るのです。

非弁行為が発覚すると、出勤していない日数が無断欠勤扱いとなり、懲戒解雇あるいは損害賠償請求に発展する可能性も否定出来ません。
 退職代行会社に退職代行を依頼すると思わぬ被害を被るかもしれない、ということを念頭に置いておいた方がよいのです。

【デメリット】守秘義務がない

 弁護士事務所の場合、弁護士職務基本規定第23条に定められている「弁護士は正当な理由なく依頼者について職務上知りえた秘密を他に漏らし、または利用してはならない」に則って業務を遂行しなければなりません。つまり、弁護士には守秘義務があるのです。
 一方、退職代行会社には守秘義務が発生しません。個人情報が流出する可能性は否定出来ません。

「弁護士監修」を謳う退職代行会社

 多くの退職代行会社では「弁護士が監修」を謳っています。とはいえ、それはあくまでも退職代行会社が非弁行為を行っていないかどうかのチェックに留まります。
決して、弁護士が退職代行をしているのではありません。

退職代行を弁護士に依頼するメリット

 退職代行会社には出来ることが限られていたり、非弁行為に該当すれば退職の取り消しになる可能性があったり等、不安な面が拭えません。
 そのような不安は弁護士事務所に依頼をすれば払拭が出来るかもしれません。依頼する費用が退職代行会社より高いものの、以下のようなメリットがあるため安心なのです。

【メリット①】会社との交渉も代行出来る

 弁護士事務所の依頼をすると代理交渉が可能です。例えば、退職の旨を代理で伝えた後、会社から本人に連絡があったとします。すると、その後は交渉に当たるため退職代行会社は関わることが出来ません。しかし、弁護士であれば交渉が可能のため代理対応の依頼が叶うのです。

【メリット②】未払い残業代請求も可能

 弁護士は言うまでもなく法律に関わる業務が可能です。そのため、退職する旨を依頼者に代わって会社に伝えるだけでなく、それに付随しがちな未払い残業代の請求や有給休暇の取得の請求等の交渉も可能です。

【メリット③】退職届の作成代行も可能

 退職代行会社に依頼をすると自身で退職届を作成し提出しなければならない場合があります。対して、弁護士事務所に依頼をすれば退職届の作成・提出を任せることが可能です。

こんな方は弁護士事務所への依頼がオススメ

 既に触れている通り、退職代行会社より弁護士事務所に退職代行を依頼した方が費用は高くなります。とはいえ、本人に代わって会社と交渉が出来るのは弁護士のみです。
 下記のように、会社と交渉が必要な方は退職代行を弁護士に依頼することをオススメします。

・未払いの給与や残業代の支払いについて交渉したい
・有給休暇の消化・買取について交渉したい
・保険等?書類の作成や手続が必要
・会社に損害賠償を請求されている
・パワハラやモラハラ等のトラブルについても訴えたい

まとめ

 近年騒がれる退職問題。辞めたい会社に長い間いることはとても辛いでしょう。退職の意思を伝えられず、その職場に在籍している方も少なくないのではないでしょうか。
そんな時こそ、弁護士の出番です。弁護士であれば退職代行だけでなく、退職に付随する退職届の作成・提出も代理で行ってくれます。
 ぜひ弁護士に退職代行を依頼してみてください。一歩踏み出した先には、あなたが望む明るいビジネスライフが待っていることでしょう。

この記事の著者

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残業代請求弁護士ガイド 編集部

残業代請求に関する記事を専門家と連携しながら執筆中 ぜひ残業代請求の参考にしてみてください。 悩んでいる方は一度弁護士に直接相談することをおすすめします。 今後も残業代請求に関する情報を発信して参ります。

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