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残業代請求に関する相談は労働基準監督署より弁護士事務所の方がよい

更新日:2019年07月02日
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働いた分の賃金を支払われるのは労働者にとって当然の権利です。もし、未払いの残業代があるなら支払ってもらうべきです。ただ、未払い残業代を取り戻す方法が分からないという方は多いのではないでしょうか。

 そんな方々の相談先に挙げられるのが、労働基準監督署と弁護士事務所です。では、両者のどちらに相談するのがよいのでしょうか。
 本記事では残業代請求の相談先に挙げられる労働基準監督署と弁護士事務所の違いや、どちらに相談するのがおすすめなのか、についてお伝えしたいと思います。

労働基準監督署と弁護士事務所

 まずは労働基準監督署と弁護士事務所についてお伝えいたします。

労働基準監督署

 労働基準監督署とは、労働条件の保障や改善、労災保険の給付等を行う組織です。労働基準監督署は悪質な条件下で労働者を働かせたり、長時間のサービス残業をさせたりと、労働基準法が著しく守られていない会社を監視、指導します。

 それらの業務を遂行するのが労働基準監督官です。労働基準法102条では「労働基準監督官は刑事訴訟法に規定する司法警察官の職務を行う」と定められています。
 そんな労働基準監督官は、労働基準法違反の疑いがある会社に立ち入って帳簿の提出等を求め法令違反の有無を調査することが出来ます。
法令違反の事実が確認出来れば、処分を下すことも可能です。

弁護士事務所

 弁護士事務所とは、言うまでもなく弁護士が在籍している事務所です。弁護士は、依頼者が抱えている法律問題を解決に導くサポートをします。
弁護士法72条では「弁護士でない者は報酬を得る目的で法律事件に関して鑑定、代理、仲裁もしくは和解その他の法律事務を取り扱うことが出来ない」と定められています。
つまり、弁護士は依頼者に代わって残業代請求等をすることが可能なのです。それは、弁護士が唯一許されている独占業務なのです。
裏を返すと、弁護士以外の者は代理で法律事務等をすることが出来ないとも言えます。

残業代請求の流れから見る対応の違い

 以上のような違いがあるため、残業代請求の場合も対応が変わります。残業代請求は、基本的には下記の図のような流れで行われます。
残業代請求の流れ
上記の流れにおいて、労働基準監督署と弁護士事務所では対応出来る範囲が異なります。

労働基準監督署に相談をした場合

 労働基準監督署は無料で相談を受けています。タイムカードや給与明細書等の残業時間や給与が分かる資料を持参すれば、残業代の計算等についてのアドバイスをもらえます。但し、労働基準監督署には弁護士がいないため残業代請求の代行は出来ません。

先述の労働基準監督官のよる会社への立入調査は、基本的に違反の疑いがなければ動きません。こと残業代請求においては稀です。
多くは、相談内容に基づいて、会社に「未払いの残業代を支払うように」と是正勧告をするに留まります。それ以上の業務は行いません。
ですので、労働基準監督署に相談をした場合、上記の図の【時効を止める】以降は自身で行わなければなりません。

弁護士事務所に相談をした場合

 労働基準監督署と同様、弁護士事務所でも相談を受けています。ただ、労働基準監督署と異なるのは、弁護士事務所に在籍する弁護士が法律事務等の代行を行うことが出来る点です。労働基準監督官にはこの権利がありません。
 法律事務の代行を遂行出来る弁護士は次のような業務の遂行が可能です。

■証拠収集のアドバイス
 依頼者が証拠収集を行っていない場合は、状況に応じて証拠収集に関するアドバイスをくれます。

■未払い残業代の算出
 証拠を基に回収出来るおおよその未払い残業代を算出してくれます。

■会社との交渉
 会社に対して未払い残業代の請求を代行してくれます。その際の、内容証明郵便や請求書の作成等を弁護士が代理で行ってくれます。

■労働審判・訴訟の申し立て
 交渉がまとまらない場合や相手が交渉に応じない場合は、労働審判や訴訟等も代理で遂行してくれます。

 弁護士は上記の図の【相談】~【裁判】まで幅広く対応が出来ます。弁護士事務所は、労働基準監督署とは異なり、残業代請求を本人に代わって会社に残業代の請求を行うことが出来るのです。

労働基準監督署の問題解決力の無さが問題視されている

 弁護士に比べ労働基準監督署は解決能力のなさが問題視されています。
 労働基準監督署は様々な労働トラブルに関する相談を受けたり、会社に対し是正勧告を行えたりする一方で、以下のような懸念点が挙げられます。

○複雑な紛争に対しては監督・規制体制が不十分
○慢性的な人手不足による処理スピードの遅さ
○労働基準監督署から是正勧告を受けてたとしても会社はそれに応じなければならないという法的な拘束力はない。そのため会社側は拒否することが少なくない

 労働基準監督署への相談で解決に至らないケースは珍しくありません。労働基準監督署に相談して、自身で会社に未払いの残業代請求をしたものの黙殺されてしまい、結局、弁護士に相談するという労働者は少なくないのです。

弁護士に残業代請求を依頼するメリット

 弁護士に残業代請求を依頼すると、代理で請求を行ってくれるだけでなく次のようなメリットもあります。

【メリット①】解決までがスムーズ

 自身で残業代請求を行うと法律の知識が希薄のため、証拠集めや会社との交渉、書類の準備等、非常に手間がかかるでしょう。
 請求に時間が掛かってしまうと、解決の見えない問題にストレスを感じて途中で挫折してしまうことも少なくありません。

 残業代請求に強い弁護士でしたら、全て代行してくれるため解決までがとてもスムーズなのです。

【メリット②】最低限の証拠で請求が可能

 残業代請求をするに当たっての証拠が不十分の場合もあります。ですが、弁護士が代行すれば、就業規則や給与明細等の最低限の証拠さえあれば、会社に請求出来る可能性があります。

【メリット③】会社がしっかり対応をするようになる

 弁護士に依頼をすると、弁護士が矢面に立って交渉をします。法律に詳しい弁護士が交渉相手になるので、会社も対応せざるを得ません。また、弁護士に依頼をしているという事実に、依頼者の本気度を感じるでしょう。
 自身で交渉をするより弁護士に依頼した方が会社はしっかりと対応をする可能性は高くなります。

【メリット④】依頼者に有利になるよう交渉を進める

 残業代請求の流れを見ればわかる通り、まずは交渉し、それで残業代の回収が出来なければ労働審判・裁判へと手続が進みます。弁護士であれば、依頼者に有利になるようこれらの交渉を進めてくれるのです。

残業代請求に関する相談は弁護士の方がオススメ

 労働基準監督署でも残業代請求に関する相談は可能です。ただ、労働基準監督署では残業代請求の代行が行えません。その点、弁護士は残業代請求の代行が可能です。
 ですので、残業代請求に関する相談は弁護士事務所の方がよいでしょう。弁護士が、あなたと二人三脚になり解決に向けてサポートしてくれるでしょう。

この記事の著者

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残業代請求弁護士ガイド 編集部

残業代請求に関する記事を専門家と連携しながら執筆中 ぜひ残業代請求の参考にしてみてください。 悩んでいる方は一度弁護士に直接相談することをおすすめします。 今後も残業代請求に関する情報を発信して参ります。

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