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労働基準監督署(労基署)とはどんな機関?簡単に解説

更新日:2019年07月02日
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 みなさんは、労働基準監督署をご存知でしょうか?未払い残業代請求等の際の相談先として、労働基準監督署がよく挙げられます。
本記事では労働基準監督署を簡単に解説していきます。

労働基準監督署(労基署)とは

労働基準監督署(労基署)とは、労働条件の保障や改善、労災保険の給付などを行う組織です。厚生労働省の下部組織である都道府県労働局(全国47ヶ所)のさらに下部組織として、全国に300ヶ所以上設置されています。労基署が1番多いのは東京都の18ヶ所で、続いて北海道(17ヶ所)、愛知県(14ヶ所)と、土地が広かったり人口が多い都道府県に多いです。

 労基署の職員のうち、労働条件の保障や改善などの仕事に携わる担当者のことを労基官(労働基準監督官)といいます。現在3,000人以上の労基官が全国にいて、徐々にこの人数は増加しています。

労基署の役割

 労基署は悪質な条件下で労働者を働かせたり、長時間のサービス残業をさせたりと、労働基準法が著しく守られていない会社を監視、指導します。
 たとえるなら、労働法に関する問題を取り扱う警察署のような場所です。そのため、労基署は「万引きGメン」を文字って「労働Gメン」と呼ばれることもあります。

 労基官は、法律に違反していると判断すると会社に対して是正(悪い点を改めて正しくすること)や指導をします。悪質な場合は強制捜査を逮捕も行う権限さえあります。さらに、残業代の支払いを強制する場合等は、労基署を通して最終的には裁判所の権限を駆使する権力もあります。

労基署が対応出来る内容

 労基署は、労働基準法で定められたことに関しては対処をしてくれます。
労働基準法により定められていることを、ざっくりというと、以下の項目があります。


・雇い入れ時の労働条件の明示
・会社が働かせてもいい労働時間の上限(法定労働時間)
・労働の開始時刻と終了時刻
・36協定
・会社が労働者に与えなければいけない休日数(週1、または4週で4日)
・会社が労働者に与えなければいけない休憩時間(6時間以上で45分、8時間以上で1時間)
・労災保険給付等に利用する平均賃金の計算方法
・労災申請で必須なもの
・賃金のルール(締め日、支払日、計算期間、支払方法等)
・法定外労働に対する割増賃金(法定時間外労働、深夜、法定休日に対する賃金)
・最低賃金
・解雇予告期間と解雇予告手当のルール

以上のことについては、労基署が行政の立場から助言等が出来る範囲内となっています。

労基署が対応出来ない内容

しかし、労基署の労基官は国家公務員であり、民事不介入(民事紛争に関わる事案には介入するべきではないという考え)の原則の下、働いています。そのため労働基準法で定められていないことに関しては明言・介入が出来ません。
 例えば以下のものです。


・解雇が妥当か違法か
・退職か解雇か
・退職と言えるのか
・人事異動が妥当かどうか
・いじめ、嫌がらせ、パワハラ
・人事評価が公平にされているか
・懲戒処分に該当するかどうか
・派遣切りの違法性
・労災保険申請でそろえた方がいいものは何か

これらは、労基署の業務範囲外のため対応が出来ません。

労基署で対応出来ない内容は労働局で

 但し、労基署で対応出来ない内容は労働局で対応してもらえる場合があります。
 労働局とは、労基署の上部組織に当たります。厚生労働省の地方支分部局として労働局は全都道府県に設置されています。労働者と会社の間で発生した紛争を解決するために、助言や指導を行って当事者を援助してくれます。労基署が直接解決することが難しい労働問題等は、「労働局に言って話してみたら」とエスカレーター式に案内されることがあります。

労基署とハローワーク

 また、労働者にとって相談先となる機関には労基署と労働局の他に、ハローワークも挙げられます。ハローワークは、主に雇用保険を管轄しています。次のような場合にハローワークの出番になるでしょう。

・失業保険の給付や申請
・求人の紹介は斡旋

労基署と労働局とハローワーク

 労基署と労働局とハローワーク、それぞれに相談出来る内容を以下の表に分かりやすくまとめたので併せてご覧ください。
労基署と労働局とハローワーク相談内容

最後に

労働者の中には悪質な条件下で働かされている人がいます。そんな労働者を保護してくれるのが労基署といっていいでしょう。
もし、労働環境について悩みがあったら、まずは労基署に電話で相談してみてください。すると、労基署は面談や労働局に行くべきか等を教えてくれるでしょう。

 また、都道府県別に労基署の記事をご用意しております。下記の都道府県にお住まいの方は併せてご覧ください。

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残業代請求弁護士ガイド 編集部

残業代請求に関する記事を専門家と連携しながら執筆中 ぜひ残業代請求の参考にしてみてください。 悩んでいる方は一度弁護士に直接相談することをおすすめします。 今後も残業代請求に関する情報を発信して参ります。

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