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使わなかった有給休暇は退職前に買い取ってもらえる?

更新日:2024年01月29日
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退職が決まっている方にとって、残された有休をどう利用しようか考えている方は多いのではないでしょうか。

では、未消化分の有休は会社に買い取ってもらうことは可能なのでしょうか。

本記事では、有給休暇は退職時に買い取ってもらえるのか法的な視点を交えて解説します。

みんな知ってる?有給休暇の基本

はじめに、有給休暇の基本について確認しておきましょう。

有休は、正式名称を「年次有給休暇」といいます。労働基準法においては第39条に定められており、全労働日の8割以上出勤した労働者に与えられるものとされています。

「年次」と付いているのは、最初の6ヶ月間を除いて年に1度だけ与えられることになります。

勤続年月における付与日数は、以下のとおりです。

  • 6ヶ月:10日
  • 1年6ヶ月:11日
  • 2年6ヶ月:12日
  • 3年6ヶ月:14日
  • 4年6ヶ月:16日
  • 5年6ヶ月:18日
  • 6年6ヶ月以上:20日

また、有給休暇の制度は正社員だけでなくアルバイトやパートであっても取得できます。

有給休暇に時効はあるの?

有給休暇をあまり使っていない方は「未消化分が結構残っている!」と感じるかもしれません。
と考えると、一度も取得しなければ未消化分がどんどん蓄積されていくのか?といわれるとそうではありません。

有給休暇には時効があり、2年を過ぎるとリセットされます。

労使間で期間を定めることは可能になっていますが、付与された分を次の年度までに使わないと消滅してしまうのが一般的でしょう。

有給休暇の取得を拒否された!これってどうなの?

有給休暇を申請しても、会社が承認しなければ利用できないという方も中にはいらっしゃるかもしれません。

結論から申し上げます。このようなケースは違法です。

原則として、労働者が有給休暇を取得すると会社に申し出れば、会社側はそれに応じなければなりません。

そもそも、取得するために許可制・承認制をとっているというのは法律に違反する可能性が高いといえるでしょう。

有給休暇を取得することで会社側が困る場合は?

とはいえ、取得したい日に限って出勤人数が少なく「休まれると困ってしまう」と会社から言われるケースもあります。

会社が正常な運営をできないと判断されれば、会社は「できれば別の日に変更してほしい」と提案する「時季変更権」を行使することができます。

しかし、時季変更権はあくまで相談程度として言えるだけで、取得の拒否まではできません。

未消化分の有給休暇は買い取ってもらえるの?

ようやく本題です。
ここまでは、有給休暇の取得制度について解説してきましたが、すでに退職が決まっている労働者が未消化分の有休を買い取ってほしいという場合はどうなるでしょうか。

法的観点からみると、会社には有給休暇の買取義務は発生しません。

さらにいうと、会社側が未消化分の有休を買い取ることは労働基準法違反になります。

これは、有給休暇が定められている目的が関係してきます。

そもそも、有給休暇は労働者のリフレッシュを目的に定められた権利。それをお金に換えることが許されてしまうと、有給休暇の本来の目的に反してしまいます。

残念ながら、基本的に有給休暇を買い取ってもらうことはできません。

例外として買取可能な有給休暇もある

原則として買取目的で有給休暇を利用しないというのはNGですが、使いたくても使えなかった分の有給休暇については、例外的に買い取ってもらえる可能性があります。

たとえば、忙しくて取得するタイミングがなく消滅してしまった(もしくは消滅しそうになっている)有給休暇に関しては、会社側は労働者への労いとして買取が許されています。

ほかにも、労働基準法で定められた日数とは別に会社側が定めた日数があれば、それは買い取ってもらえることがあります。

ただ、例外のケースにおいても、会社側に買い取る「義務」はないということを念頭においておきましょう。

ご自身が例外ケースに当てはまる場合は、有給休暇の買取が可能かどうかを聞いてみてもいいかもしれません。
もし、買取は一切できないと言われたら、日頃から計画的に取得しておくといいでしょう。

まとめ:有給休暇の取得を拒否されたら専門家に相談してみよう

会社は、有給休暇の買取をする義務はありません。
しかし、取得できなかった理由が「会社から拒否された」「使おうとすると嫌味をいわれた」など複雑な事情があった場合は話が別です。

原則として、労働者からの有給休暇の取得を拒むことは違反行為にあたります。有給休暇の取得を拒まれてきた…という方は、法律の専門家である弁護士に相談してみることをおすすめします。

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