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みなし残業代制の定時退社ってホントにNGなの?

更新日:2024年09月20日
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給与には月給制や年俸制、フレックスタイム制等、様々な形態が存在します。その中で、実際の労働時間に関わらず、あらかじめ決められた時間分の残業代を支払う特殊な給与形態があります。

 それは、みなし残業代制です。このみなし残業代制を巡っては、下記の疑問を持つ方が少なくありません。

「みなし残業代制は、事前に給与に残業代が含まれているから定時退社はNGなの?」

 今回はその疑問に答えていきたいと思います。

みなし残業代制と定時退社

そのそも、なぜ「定時退社がNGなのか」という疑問が生じるのでしょうか。それは、「みなし残業代を支払っているのだから、定時で帰らず残業しなさい」と会社に命令される方が少なくないためです。
そこで、みなし残業代制を採用している会社での定時退社はNGなのかどうかについて見ていきましょう。

みなし残業代制とは

 そもそもみなし残業代制とは、実際の労働時間に関わらず、あらかじめ決められた時間分の”みなし残業代”を支払うことをいいます。
 会社は、みなし残業代制を採用することによって、残業代の計算の手間が省けるメリットがあります。
 一方、労働者にとっても実働の残業時間よりも多くの残業代が支払われるケースがあるというメリットがあるのです。

定時退社はOKである

 このように、双方の利害が一致しているのがみなし残業代制です。決して「みなし残業代分の残業をしなければならない」という制度ではありません。
 ですので、たとえみなし残業代を貰っているとしても「定時退社はOK」なのです。

みなし残業時間の繰り越し制度

 さらにもう1つ、「定時退社はOK」を裏づけられることがあります。それは、みなし残業時間の繰り越し制度です。
 過去に、「実際の残業時間がみなし残業代分を下回った場合、未実施の残業時間分を次月に繰り越せる」とした以下の判例があります。

【過去の判例】
「東京地裁平成21年3月28日判決では、”月単位の固定的な時間外手当の内払い”として”管理手当”を支給するものとし、『(現実の稼働時間に応じた金額と管理手当に)差額が発生した場合、不足分についてはこれを支給し、超過分について会社はこれを次月以降に繰り越すことができるものとする』とした会社の取扱について、時間外手当の内払いとして有効と認めています。」

上記の通り、未実施の残業時間を次月に繰り越すことは認められる可能性があります。つまり、実際に残業時間がみなし残業時間分を下回ることも認められているということではないでしょうか。

 これがもう1つの「定時退社はOK」を裏付ける理由です。

 但し、繰り越し制度を導入する場合、会社は以下の条件を満たさなければならない、とされています。

・労働基準監督署にあらかじめ繰り越し制度をする旨を相談する
・就業規則等に繰し越し制度について明記する、
・社員に繰り越し制度の説明をした上で同意を得る

 上記の条件を満たさずに制度を実施する会社は、繰り越しが認められない可能性があるでしょう。

残業代に関する困りごとは弁護士へ相談を

「みなし残業代分の残業をしなければならない」「繰り越し制度がある」といったことから、みなし残業代制の定時退社はOKと言ってよいでしょう。

もし、会社から「みなし残業代を支払っているんだから定時退社はダメだ!」と言われた場合は、専門家に相談することをおすすめします。

そこで頼りになるのが「弁護士」の存在です。

法律のプロである弁護士なら、個々の状況に合わせて相談に乗ってくれるだけでなく、労働上で起きやすいトラブルを未然に防いでくれます。

労働トラブルに詳しい弁護士に相談し、自分の身を守りましょう。

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