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管理職は代休が取得出来ないってホント?実は代休を取得出来る場合もある

更新日:2024年02月08日
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 現在、多くの労働者は週休2日制が採用されています。しかし、イレギュラーな対応が求めら、休日出勤をする場合もあります。そんな際は、別の日を代休にする等の対処がとられているでしょう。

そんな中、役職等に就いている労働者からは「管理職だから代休を取得出来ない」という声が上がっています。同じ労働者なのに、管理職という立場を理由に代休が取れないというは法的に違法ではないのでしょうか。
 今回はそんな疑問にお答えいたします。

代休とは

 代休とは、休日出勤をした代わりに、別の日を休みにすることをいいます。
 例えば、本来休みだった土曜日に出勤するとします、その際、代わりに次週の木曜日を休みに変更することを、代休と呼びます。

管理職の代休に関する規定

 冒頭で触れた通り、管理職は代休を取得出来ないのでしょうか。一般的に、管理職は労働基準法で定められている管理監督者と見なされています。

 労働基準法第41条では「管理監督者に該当する者は、労働基準法第35条の休日に関する規定が適用されない」と定められています。「労働基準法第35条の休日に関する規定」とはどのような内容なのでしょうか。

 労働基準法第35条において、「会社は労働者に毎週少なくとも1日の休日、もしくは4週間を通じて4日以上の休日を与えなければならない」という内容の規定があります。

 ですので、管理職は、休日はもちろん、代休を取得しなくても法律上、問題ないと言えるかもしれません。

管理職の代休認可は会社によって異なる

 しかし、会社によっては、管理職の代休を認める旨を就業規則等で定めています。そのため、管理職が代休を取得出来るかどうかは、会社によって異なるのです。

管理職と管理監督者

 但し、その管理職が労働基準法で定めている管理監督者に該当しない可能性もあります。管理監督者に該当しないにも関わらず、代休を取得出来ない場合、不当な休日出勤をさせられているかもしれません。

 そこで、管理監督者の定義についてお伝えいたします。

■一定部門を総括する立場である
■会社経営に関与している
■労働時間や仕事を自身でコントロール出来る
■給与面で優遇されている

上記の4つを総合的に見て、管理監督者であるかどうかが判断されます。

 もし、管理監督者に該当するとは言えないにも関わらず、代休がとれていない場合は、不当な扱いを受けている可能性が考えられます。

代休に関するルール

 ここからは、代休に関するルールをご説明させていただきます。

【ルール①】代休は時間単位で申請可能

 労働基準法では、代休は1日単位で取得しなければならないという規定はありません。ですので、半日のみ取得する等、代休は時間単位が可能なのです。

【ルール②】代休が取れなかったら賃金で支払われる

 繁忙期等で代休が取れない場合もあるでしょう。その場合は賃金で支払われることも可能です。

【ルール③】代休の割増率

 代休は取得するタイミングによっては、割増賃金が支払われる可能性があります。

例えば、土日休みの人が土曜日と金曜日を交換する下記のような代休をしたとします。その場合、法定労働時間(1日8時間、1週40時間)を超えていないため割増賃金は発生しません。

【割増賃金が適用されない代休】

日にち 曜日 通常 代休後
6/1 休日

 

休日
6/2 8時間 8時間
6/3 8時間 8時間
6/4 8時間 8時間
6/5 8時間 8時間
6/6 8時間 休日
6/7 休日 8時間

但し、次に挙げる週をまたいだ代休の場合は割増賃金が発生する可能性があります。
【割増賃金が適用される可能性がある振休・代休】

日にち 曜日 通常   振休後
6/1 休日  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

休日
6/2 8時間 8時間
6/3 8時間 8時間
6/4 8時間 8時間
6/5 8時間 8時間
6/6 8時間 8時間
6/7 休日 労働日
6/8 休日 休日
6/9 8時間 8時間
6/10 8時間 8時間
6/11 8時間 8時間
6/12 8時間 8時間
6/13 8時間 休日
6/14 休日 休日

上記の場合、6/1~6/7の週6日の勤務をしており、法定労働時間を超えています。法定労働時間を超えた場合、25%割増の賃金を支払わなければならない旨が労働基準法で定められています。よって、代休で出勤をした6/6は時間外労働の25%が割増される可能性がります。

【ルール④】代休による残業の相殺をしても法定労働時間の事実は消滅しない

代休のよる残業の相殺をしても、法定労働時時間の事実は消滅しません。
 例えば、所定労働時間が8時間の会社において、繁忙期のため1日2時間の残業が4日続いたとします。その場合、総残業時間は「2時間×4日=8時間」になります。
 そこで、従業員に1日代休を与えることで残業時間の相殺を行い、総労働時間を合わせる会社もあります。代休で総残業時間を相殺することは違法ではありません。

 但し、その残業時間は法定労働時間を超えた残業です。残業時間の相殺をしても法定労働時間の事実は消滅しません。
 ですので、割増分のみの賃金を支払う必要があるのです。例えば、1時間当たりの賃金が1200円の場合は、残業1時間当たり以下の金額を支払わなければなりません。

1200円×25%=300円

【ルール⑤】公務員管理職と代休

 国家公務員・地方公務員の管理職が休日出勤をした際は、代休を取得することが可能です。とりわけ、予算編成時期や国会開催中は深夜残業・休日出勤が多くなるため、代休を取得出来る仕組みになっています。

【ルール⑥】欠勤日を代休に当てる

 会社が一方的に欠勤日を代休扱いにすることは出来ません。しかし、労働者の同意がある場合に限り、欠勤を代休扱いにすることは可能です。

【ルール⑦】取得期限

 代休の取得期限については、法的な決まりはありません。但し、労働者の健康面を考慮して、休日出勤をした翌週に代休を取るのが望ましいと考えられています。

【ルール⑧】勉強会名目の休日出勤は代休の対象になる

 勉強会という名目で休日出勤が行われた場合、代休は適用されるのでしょうか。
労働基準法では、会社の指揮命令下にあるものは労働時間と見なす、と定められています。ですので、その勉強会が強制的なものであれば労働時間に該当し、代休の対象になる可能性があります。
対して、労働者の自由意思で勉強会に参加した場合は、労働時間に当たらない可能性があります。ですので、代休は発生しないでしょう。

代休と振替休日の違い

 さて、代休と同義語として用いられる言葉として、振替休日が挙げられます。しかし、厳密には、代休と振替休日は以下のように意味が異なります。

振替休日とは

 振替休日とは、事前に労働日と休みを交換することをいいます。例えば、土日休みの人が「今週の日曜日に出勤をする代わりに来週の水曜日を休みにする」と事前に決めた場合は、振替休日に当たります。

代休とは

 一方、代休とは休日出勤をした後に決定した、代わりの休日のことを指します。例えば、土日休みの人が「先週の日曜日を休みにしたから、来週の水曜日を休みにする」といった場合が、代休に該当します。

まとめ:労働問題に関する困りごとは弁護士へ相談を

代休が取れる状況であるのに認めてもらえないという場合は、不当な扱いを受けている可能性が考えられます。

とはいえ、会社相手にご自身の状況を主張するのは簡単ではありません。

そこで頼りになるのが「弁護士」の存在です。

法律のプロである弁護士なら、個々の状況に合わせて相談に乗ってくれるだけでなく、労働上で起きやすいトラブルを未然に防いでくれます。

労働トラブルに詳しい弁護士に事前に相談しておくのがおすすめです。

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