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自己都合退職の失業保険は給付まで3ヶ月かかる:受給するための条件を徹底網羅

更新日:2024年02月07日
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失業した人を支援するためにつくられた失業保険給付制度。その制度は、会社都合で退職都合した場合と、自己都合退職で退職した場合では、給付されるタイミングが異なります。

 失業後、間もなく受け取れる会社都合退職とは異なり、自己都合退職の場合は、失業後3ヶ月の期間を経過しなければ給付されません。それだけでなく、やるべきことを遂行しなければ受給資格を得られないのです。
様々な条件が絡んでおり、実に煩雑としています。

そこで混乱しないよう、自己都合退職者が失業保険を受給するための条件等についてお伝えしたいと思います。

失業保険とは

 失業保険とは、雇用保険の基本手当のことを指します。会社を退職して次の転職先に移るまでの期間に、失業者のライフラインとして給付されるお金であることから通称、失業保険と呼ばれています。

失業保険の受給条件

 失業保険を受給するためには下記2つの条件を全て満たさなければなりません。


①雇用保険の被保険者期間が通算12ヶ月以上
②働く意思と能力がある

ひとつずつ見ていきましょう。

雇用保険加入期間が通算12ヶ月以上

 まず、在職中に雇用保険に加入していることが必須になります。
 雇用保険加入者のうち、被保険者期間(保険に入っていた期間)が、退職日前の2年間で通算12ヶ月以上あることが失業保険を受給出来る条件です。

働く意思と能力がある

 働く意思と能力があるかどうかを、下記3つを基に判断します。


・就職したいという積極的な意思(気持ち)がある
・いつでも就職出来る能力(健康状態・家庭環境)がある
・積極的に求職活動を行っているが就職出来ないでいる

 上記3つを全て満たした場合に限り、働く意思と能力があると認められます。

失業保険を受給するための7ステップ

 とはいえ、前述の2つの条件を満たしていても失業保険は給付されません。
 自己都合退職で失業保険を貰う場合、下記図のようにいくつもの段階を経て受給されます。
失業保険を受給するためのステップ図表
事前に必要なものから、退職後にすべきことを理解しておくことでスムーズに手続きを済ませることが可能になります。

 ひとつずつ解説していきます。

退職前のステップ

 失業保険の受給に向けて、退職前に以下3つの準備をします。退職前の用意周到が、退職後の手続をスムーズに進められます。以下2ステップを確認しておきましょう。

【退職前⑴】雇用保険被保険者証が手元にあるかどうかの確認

 雇用保険に加入していた証明になる雇用保険被保険者証が手元にあるかどうかを確認してください。雇用保険被保険者証は、失業保険の受け取り手続で必要な場合があります。

雇用保険被保険者証は、労働者本人に配布されることがありますが、会社が預かっているケースの方が多いです。

雇用保険被保険者証が手元にない場合は、退職後に会社が郵送で自宅に送付してくれます。また、雇用保険被保険者証を紛失し、手元にない方は居住地を管轄するハローワークで再発行の申し込みをしましょう。

【雇用保険被保険者証の見本】
雇用保険被保険者証の見本画像
引用元:https://www.hellowork.go.jp/insurance/insurance_guide.html

【退職前⑵】離職票をいつもらえるか確認

 離職票は、失業保険の受け取り手続で必ず必要になります。労働者が退職した10日以内に、会社がハローワークに手続をすることで離職票は発行されます。
 但し、会社が発行するタイミングが遅い可能性があるので、いつ離職票を受け取れるのか、あらかじめ会社に確認しましょう。

 通常、離職票は郵送で自宅に送付されます。離職票は下記に紹介している見本の通り2つの種類があり、離職票1には雇用保険の加入者情報と失業保険の振り込み口座が記入され、離職票2には退職する直前6ヶ月の給与や退職理由等が記載されます。
 いずれも失業保険受給の手続や、受給金額の算出に必要になるため確実に受け取りましょう。

【離職票1の見本】
離職票1の見本
引用元:https://www.hellowork.go.jp/insurance/insurance_procedure.html
【離職票2の見本】
離職票2の見本
引用元:https://www.hellowork.go.jp/insurance/insurance_procedure.html
以上、退職前⑴~⑵が退職前の準備です。既に退職済みで上記の書類を受け取っていないのであれば、元職場に発行してもらうよう依頼しましょう。

退職後のステップ

 退職後の手順は以下、5ステップです。

【退職後①】離職票の受け取りと確認

 職場から離職票を受け取ったら記載されている内容が正しいかどうかを確認します。次の内容を確認しましょう。

■離職票1の確認ポイント
(A)資格取得年月日と離職年月日
 資格取得年月日は雇用保険に加入した日を指し、離職年月日は雇用保険から抜けた日を表します。よって、両日は雇用保険の加入期間を表します。その加入期間は、給付日数や受給金額等に影響するため必ず確認しましょう。

(B)喪失原因
 喪失原因は、「1.離職以外の理由」「2.3以外の離職」「3.事業主の都合による離職」の3つから選択肢が記載されています。1は死亡した場合や在籍出向(出向先で被保険者にる場合)に選択されるため、退職した場合は2あるいは3が選択されています。
 自己都合退職の場合は2、会社都合退職の場合は3が選択されます。

 自身の退職理由が間違ってないかどうかを確認しましょう。

■離職票2の確認ポイント
特に、離職票2に記載されている退職する直前6ヶ月の給与額は要確認です。退職後、2週間経過しても離職票を受け取れていない場合は、会社に確認しましょう。

(ア)離職日以前の賃金支払い状況等
 離職日以前の賃金支払い状況等には、退職する直近6ヶ月の給与が記載されています。退職する直前の6ヶ月の給与を基に失業保険の給付額が算出されるため、正しいかどうかの確認を必ずしましょう。

(イ)離職理由
 離職理由は、離職票の右ページの左部に用意されている「事業主記入欄」「離職者記入欄」にそれぞれレ点チェック方式で表されています。自身の退職した理由とレ点が一致しているかどうかを確認しましょう。

(ウ)具体的事情記載欄
 具体的事情記載欄も退職理由に関する内容が記載されています。(イ)と同様、退職した理由が間違っていないかどうかのチェックをしましょう。

【退職後②】ハローワークに求職を申し込む

 移住地を管轄するハローワークに求職を申し込みましょう。申し込み日に合わせて今後、失業保険の受給に必須な失業認定説明会への参加日程が決定されるので、通いやすい曜日に求職を申し込みましょう。

 その際、次に列記する書類等の提出が必須になります。

・雇用保険被保険者証
・離職票1
・離職票2
・身分証明証(運転免許証、マイナンバー等)
・印鑑写真2枚(直近3ヶ月以内、縦3.0センチ×横2.5センチ)
・本人名義の普通預金通帳(郵便局を含む)

また、求職の申し込みの流れは以下の通りです。

離職票を提出し、求職申込書を受け取る

求職申込書と離職票について質問を受ける

ハローワークカードと雇用保険受給資格者のしおりを受け取る

【退職後③】7日間待機する

 求職の申し込みの翌日から7日間は待機しなければなりません。待機期間中、申し込み者が完全に失業状態であるかどうかを、ハローワークがチェックします。

【退職後④】3ヶ月の給付制限期間

 7日の待期期間を経て、3ヶ月の給付制限期間に入ります。給付期間はあくまでも3ヶ月であり、90日ではありません。

給付制限期間中、ハローワークは自己都合で退職した労働者が、既出の「失業保険の受給条件」に挙げた「働く意思と能力がある」かどうかを判断します。具体的に下記に挙げる活動から判断します。それらの参加状況等を考慮して、労働者が働く意思と能力があるかどうかを判断するのです。

 つまり、それらの結果が思わしくない場合、働く意思がないと見なされ失業保険の受給資格を失うおそれはあるのです。

■雇用保険受給者初回説明会への参加
 雇用保険受験者初回説明会では、失業保険の受給についての重要事項の説明を受けます。
開催日時は申し込みの際に共有されます。一般的には、求職を申し込みした日の1~3週間後に開催されます。
 雇用保険受給者初回説明会には次の書類等を持参してハローワークへ向かいましょう。

・ハローワークカード(求職の申し込みをした際に渡される)
・雇用保険受給資格者のしおり(求職の申し込みをした際に渡される)
・印鑑
・筆記用具

雇用保険受給者初回説明会に流れは以下の通り行われます。

ハローワークカードを提出し、雇用保険受給資格者証を受け取る

約1時間の講義を受け、失業認定申込書を受け取る

 雇用保険受給者証と失業認定申込書は、失業保険を受給するために必須に書類です。大切に保管しておきましょう。

【雇用保険受給資格者証の見本】
雇用保険受給資格者証の見本
引用元:https://www.hellowork.go.jp/
【失業保険申告書の見本】
失業保険申告書の見本
引用元:https://www.hellowork.go.jp/insurance/insurance_guide.html
■2回以上の就業活動実績をつくる
 給付制限期間中、 2回以上の就業活動実績をつくらなければなりません。就業活動実績は例えば下記の活動をすることでつくれます。

・雇用保険受給説明会への参加
・ハローワークで実施されている就職に関する講座・セミナーへの参加
・転職フェア等の民間企業が主催している転職イベント・セミナーへの参加
・ハローワークでの職業相談
・企業の求人への応募
・資格試験の受験

■1回目の失業認定日に出席
 失業保険を受給するためには原則、 4週間に1度、失業状態にある事実を証明するための失業認定を受けなければなりません。雇用保険者初回説明会時で伝えられた失業認定日に最寄りのハローワークへ向かいましょう。
 必要な持ち物は次の通りです。

・雇用保険受給資格者証(雇用保険受給者初回説明会時に配布される)
・失業保険申告書(雇用保険受給者初回説明会時に配布される)
・印鑑
・筆記用具

 雇用保険受給資格者証と記入済みの失業認定申告書を提出します。問題がなければ、雇用保険受給資格者証は返却され、新たな失業認定申告書が渡されます。

●失業認定申告書の書き方
 失業認定申告書は、提出日までの求職活動の実績や得た収入を報告するための書類です。
 書き方について細かい規則があり、初めは戸惑ってしまうかもしれないので、失業認定申告書に書くべき事項と注意点をお伝えします。

(A)就職・就労・内職・手伝いについて
 就職や就労、内職・手伝いの有無と活動状況の記入をします。就職と就労、内職・手伝いの違いは以下の通りです。


就職…契約期間7日以上で週4日以上、かつ週20時間以上の労働
就労…1日4時間以上の労働
内職・手伝い…1日4時間未満の短時間労働

 就職あるいは就労があった場合は、失業保険が給付されるタイミングが先送りになります。一方、内職・手伝いがあった場合は失業保険の給付額の減額対象になります。

(B)求職活動について
 失業認定日までに行った就業活動実績を報告してください。詳しい内容は前述の「2回以上の就業活動実績をつくる」で説明しています。

(C)仕事を紹介された場合すぐに応じられるかどうか
 やむを得ない事情がない限り、「応じられる」に丸を付けましょう。「応じられない」と回答をすると、”労働する意思がない”と見なされ失業保険を受給出来ない一因になる可能性があります。

(D)就職もしくは自営の有無または予定について
 失業保険を受け取る場合、基本的に記入する必要がありません。当てはまる場合のみ記載しましょう。

(E)本人の確認
 提出日、支給番号を記入の上、書名・捺印をしてください。シャチハタは無効になるので注意しましょう。

●不正受給はペナルティを課せられる
 失業認定申込書の書き方をお読みになった方の中には、実際には行っていない求職活動を記載したり、就労等をしているのも関わらず報告しなかったり等、虚偽情報を記入すれば失業保険を受給しようと考えた方もいるのではないでしょうか。

 しかし、それらの虚偽報告が発覚した場合は不正受給と見なされ、以下のペナルティが課せられます。


①失業保険の給付が停止される
②不正に受給した金額に相当した額の返還が命じられる
③上記の返還額とは別途に、不正受給額の2倍相当以下の金額納付が命じられる

上記①~③以外に、悪質だと判断された場合は刑事処罰が下される可能性は否定出来ません。
受給しているにも関わらず、それを上回る金額の納付を命じられてしまっては本末転倒です。失業認定報告書には正しい情報を記載しましょう。

■2回以上の就業活動実績をつくる
 1回目の失業認定を受けたら、2回目の失業認定に向けて再度2回以上の就業活動実績をつくります。ちなみに、「2回以上の就業活動実績をつくる→4週間に1度の失業認定を受ける」という流れは失業保険の受給を終えるまで続けなければなりません。

■2回目の失業認定日に出席
 2回目の失業認定日も、持ち物や手続の流れは1回目と同様です。

【退職後⑤】基本手当の受給

 自己都合退職の方は、求職の申し込みから3ヶ月(給付制限期間)と7日(待機期間)後に、離職票に記載されている指定の口座に失業保険が振り込まれます。失業認定日に出席する度に、5~7日後に失業保険が振り込まれます。

自己都合退職で受け取れる失業保険の額

 自己都合退職で受給出来る失業保険の金額は、雇用保険の加入期間とこれまでの賃金によって決定されます。

雇用保険の加入期間

 自己都合退職の場合、雇用保険の加入期間によって給付期間が下記のように異なります。

雇用保険の加入期間 ~10年 10~20年 20年~
給付期間 90日 120日 150日

雇用保険に加入している期間に比例して、給付期間が長くなることがお分かりいただけるでしょう。

失業保険の給付金額

 失業保険の給付額は以下の式で算出されます。

◎1日当たりの給付額退職前6ヶ月間の給料の総額÷180日

 「退職前6ヶ月の給料の総額」にボーナスは含まれません。
 例えば、月給30万円の給料を貰っているとしたら、「30万円×6ヶ月÷180日=1万円」
になります。しかし、年齢等により給付額は調整されます。
分かりやすく厚生労働省の発表を基に、受給出来る失業保険額を年齢・月給別の算出してみた表が以下です。

退職日の年齢 退職前の給料 失業手当
月給 6ヶ月合計 日額 月額
~29歳/65歳~ 10万円 60万円 2,666円 7万4,666円
20万円 120万円 4,739円 13万2,711円
30万円 180万円 5,687円 15万9,237円
40万円 240万円 6,370円 17万8,360円
50万円 300万円 6,370円 17万8,360円
30~44歳 10万円 60万円 2,666円 7万4,666円
20万円 120万円 4,739円 13万2,711円
30万円 180万円 5,687円 15万9,237円
40万円 240万円 6,666円 18万6,666円
50万円 300万円 7,075円 19万8,100円
45~59歳 10万円 60万円 2,666円 7万4,666円
20万円 120万円 4,739円 13万2,711円
30万円 180万円 5,687円 15万9,237円
40万円 240万円 6,666円 18万6,666円
50万円 300万円 7,775円 21万7,700円
60~64歳 10万円 60万円 2,666円 7万4,666円
20万円 120万円 4,505円 12万6,148円
30万円 180万円 4,684円 13万1,152円
40万円 240万円 6,000円 16万8,000円
50万円 300万円 6,687円 18万7236円

引用元:https://ten-navi.com/hacks/article-35-11668

自己都合退職の失業保険受給で得をする方法

 ここからは、自己都合退職の失業保険給付の得する方法をご紹介します。

【得①】会社都合退職にならないかどうかを確認する

 会社都合退職は、自己都合退職と比較すると下記のように失業保険の給付期間が長いです。

退職理由 年齢 雇用保険被保険者期間
1年未満 1年以上5年未満 5年以上10年未満 10年以上20年未満 20 年以上
自己都合退職 ~64歳 なし 90日 90日 120日 150日
会社都合退職 ~29歳 90日 90日 120日 180日 なし
30~34歳 90日 90日 180日 210日 240日
35~44歳 90日 90日 180日 240日 270日
45~59歳 90日 180日 240日 270日 330日
60~65歳 90日 150日 180日 210日 240日

つまり、会社都合退職にした方が受給額が大幅に増えるのです。
 会社都合退職は、会社の倒産、解雇、退職勧告、大量離職等が該当するため、自分の意思で退職した人は自己都合退職に当たると考えている方が多いでしょう。
 しかし、自分の意思で退職したとしても会社都合退職に該当するケースがあるのです。例えば以下を理由に退職をした場合が挙げられます。

◎過重労働を理由にした退職
◎給与減額
◎給与の不払い・遅延
◎採用時の契約とは大きく乖離する仕事内容
◎パワハラ・セクハラ
◎会社の長期間休業
◎会社の業務法令違反

 上記の理由等に該当していないかどうか、今一度確認してみましょう。

【得②】特定理由離職者に該当するかどうか確認

 自己都合退職と一口に言っても、中には特定理由離職者に該当する方もいます。
 特定理由離職者とは、政府が定めた以下の理由で退職した方のことを指します。

・雇用期間が満了し契約継続を希望したが、更新されなかった契約社員等の有期労働者
・病気や心身の障害等で健康状態が悪化し、やむなく退職した方
・妊娠・出産・育児等を理由に退職、かつ受給期間延長措置(受給期間を最長3年間延長出来る雇用保険上の手続)を受けた方
・両親の死亡や介護等、家庭の事情により退職を余儀なくされた方
・配属者や親族との別居を続けることが困難になった方
・結婚や事業所の移転等の理由により通勤が困難になった方
・人員整理等のよる希望退職者の募集に応募した方

上記のいずれかに該当する方は特定理由離職者にしましょう。特定理由離職者であると認められれば、3ヶ月の給付期間が免除されます。

ですので、特定理由離職者に該当する方は、求職の申し込みの際にその旨を伝えましょう。

【得③】退職前6ヶ月間の給料を増やす

 既述の通り、失業保険の支給額は退職する直前6ヶ月の給与を基に算出されます。そのため、残業をする等して退職前の6ヶ月の給与を上積みすることで、支給金額が増加する可能性があります。

【得④】公共職業訓練を利用する

 ハローワークで案内されている公共職業訓練を利用することで、失業保険の受給期間が延長される等の措置があります。
 公共職業訓練とは、独立行政法人や自治体が主催する職業訓練のことをいいます。求職者を対象に、無料で就職に必要なノウハウを提供しています。
 公共職業訓練を利用することで、次のようなメリットが生まれます。

失業保険の支給期間が延長される

 公共職業訓練を受講する場合、講義が終了するまで失業保険の給付が延長されます。公共職業訓練には1ヶ月~2年まで様々な期間のコースがあります。
 但し、延長措置は原則、訓練開始時点で給付日数の3分の2以上の給付額が支給されずに残っている場合に限られます。

給付制限期間が短縮される

 公共職業訓練の受講をするタイミングで、給付制限期間が解除され、失業保険が給付されます。
 受講の申し込みは退職前から可能なため、受講開始日を求職の申し込み直後に設定することが可能です。そうすることにより、会社都合退職と同様、7日の待機期間後から失業保険を受け取ることが出来ます。

給付申請の手続が簡略化される

 公共職業訓練を受講すると、失業認定等の失業保険に関する手続を訓練校が一括で代行します。
 ですので、失業認定日の度に、失業認定申告書を作成する手間が省けます。また、ハローワークの通う必要もありません。

自己都合退職に失業保険にまつわる疑問

 これまでご説明してお分かりいただけたと思いますが、自己都合退職の失業保険の給付条件は実に煩雑化しています。そのため、様々な疑問が生じるかもしれません。
 そこで、よくある疑問をピックアップしてご説明させていただきます。

【疑問①】雇用保険の加入期間が半年未満

 雇用保険の加入期間が半年の場合、原則、失業保険は給付されません。自己都合退職の場合、雇用保険に1年以上加入していないと失業保険の給付が認められないためです。
 但し、特定理由離職者になれば半年以上の加入で受給が認められます。「【得②】特定理由離職者に該当するかどうか確認」で自身が特定理由離職者に該当するかどうか確認してみましょう。

【疑問②】病気の発症で勤続不可能になり退職した場合は自己都合退職?

 うつ病等、病気の発症で勤続不可能になり退職した場合、理由によっては自己都合退職に該当するかもしれません。例えば、上司や同僚から受けたセクハラやパワハラを理由に退職した場合は自己都合退職に該当します。

 しかし、個人的な悩み等が理由でうつ病を発症した場合は自己都合退職になります。

【疑問③】派遣先で契約更新がない場合は自己都合退職?

 派遣先での契約更新がない場合、一般的には自己都合退職になります。但し、以下の条件を全て満たしている場合に限り、会社都合退職に該当します。

・派遣先に3年以上在籍している
・契約更新を希望しているが派遣先から更新しないいと通告された
・同じ派遣会社からの仕事を希望しているにも関わらず、退職から一定期間立っても新たな派遣先が見つからない

【疑問④】待機期間中・給付期間中にアルバイトをした場合

 7日間の待機期間中や3ヶ月の給付期間中にアルバイトをした場合はどうなるのでしょうか。
 7日間の待機期間中にアルバイトをした場合は、働いた翌日から改めて7日間の待機しなければならない可能性があります。
 3ヶ月の給付制限期間中にアルバイトをした場合は給付額の減額対象になります。

 アルバイトをした場合は、ハローワークに報告しましょう。報告をしないと不正受給でペナルティを課される可能性があるため必ず報告をしましょう。

【疑問⑥】給付制限期間の3ヶ月以内に就職をした場合

 給付制限期間の3ヶ月以内に就職をした場合は、失業保険が給付されるタイミングが先送りになります。ハローワークに就職した事実を黙って、失業保険を受給すると不正受給でペナルティを課せられる可能性があるので、必ず報告しましょう。

【疑問⑤】給付期間中に就職が決まった場合

 給付期間中に就職が決まった場合、黙って受給すると不正受給でペナルティを課される可能性があります。再就職したら必ずハローワークに報告しましょう。

【疑問⑥】給付制限期間中に配偶者の扶養に入ることは出来る?

 給付制限期間の3ヶ月の間も国民年金や国民健康保険に加入しなければなりません。当然保険料を支払う必要があります。
 その間に配偶者の扶養に入ることは可能です。但し、失業保険の1日当たりの給付額が3,611円以下の場合に限ります。詳しくはハローワークに聞いてみてください。

労働トラブルに関する困りごとがあれば弁護士へ相談を

 自己都合退職の場合、失業保険を受給するまでに給付制限期間の3ヶ月がある等、様々な取り決めがあるため、手続が非常に煩雑です。

そこで頼りになるのが「弁護士」の存在です。

法律のプロである弁護士なら、個々の状況に合わせて相談に乗ってくれるだけでなく、労働上で起きやすいトラブルを未然に防いでくれます。

労働トラブルに詳しい弁護士に事前に相談しておくのがおすすめです。

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