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会社と荒波を立てずに残業代を請求する方法

更新日:2024年02月12日
会社と荒波を立てずに残業代を請求する方法のアイキャッチ

いわゆるサービス残業の残業代請求を考えている労働者の中には、「今働いている会社を退職つもりはないが、未払い残業代は請求したい」という方もいるでしょう。
そのような労働者の多くは以下のような理由で、残業代請求を躊躇しています。
 
「会社と争いごとはしたくないから円満に残業代請求をしたい。」
「残業代請求したら会社内で気まずくなりそう。」
「会社と荒波が立ちそうだから残業代の請求を躊躇うなぁ。」

確かに、働いている会社と争いごとをしたくないですよね。
出来るなら、円満に残業代請求をしたいでしょう。

そんな方に朗報です。実は、会社と荒波を立てずに残業代請求をする方法はあるのです。
在職中に請求したい方や、退職は考えていないが、穏便に残業代請求をしたい方はぜひ本記事を参考にしてみてください。

残業代請求には時効がある

 まず始めに、未払い残業代請求をするうえで知っておくべきことがあります。それは、残業代請求には時効があるということです。その時効期間は2年です。
つまり、残業代の請求をしようしても基本的には2年前までしか遡れず、躊躇をしていると徐々に請求出来る期間が短くなってしまうのです。

→時効についてはこちらの記事で詳しく説明しています。

そのため、退職をしてから残業代請求を考えていては、時効が消滅してしまいます。このことから、やはり未払い残業代請求は在籍中に行った方がよいでしょう。

請求額が少ないと会社は請求に応じてくれる可能性がある

残業代の請求額が少額の場合は、会社は角を立てることなく支払いに応じてくれる可能性があります。
そのため、まずは自分がどれだけの未払い残業代が発生しているのかを計算してみましょう。

→残業代の計算方法はこちらで詳しく説明をしています。

計算をしてみて、未払い残業代額が、給料の1~1.5ヶ月分の少額でしたら、会社に相談をしてみましょう。ここで気をつけなければいけない点があります。
それは、直属の上司には相談しないということです。上司が穏便に話を聞いてくれるのでしたらよいのですが、人によっては相談した途端、「残業が出ないのは当たり前だ!君は一体何を考えているんだ!?」と、声を荒げる可能性があります。
これでは、上司との今後の関係が気まずくなり、会社で働きづらくなってしまうでしょう。
 
よって、未払い残業代についての相談は、総務部等の給与計算を担当している部署にひっそりと話をするのがよいでしょう。

請求額が多い場合、労働基準監督署に届出することも一手

 
残業代請求額が少ない場合は、会社はすんなりと支払いに応じてくれることがありますが、請求額が多い場合、会社と荒波が立つことが危惧されます。そのため、直接総務部に相談することは控えた方がよいでしょう。

未払い残業代が多い時は、労働基準監督署(労基署)に相談することが一手です。

→労基署についてはこちらでも詳しく説明をしています。

 労基署は、法律に違反していると判断すると会社に対して是正(悪い点を改めて正しくすること)や指導、調査をします。そのため、集団で残業代請求をする際は効果的です。

 しかし、在籍中に1人で請求する場合はデメリットがあります。

 届出をした労働者本人だけの問題では済まなくなり、会社の全労働者に対して残業代を過去2年まで遡って支払うように指導や是正勧告をする可能性があるからです。
そうなってしまうと、本人のみの問題で収めようとはしていたものが、会社全体の問題にまで発展し、届出をした本人は会社に居づらい状況になる可能性があります。

このようなデメリットな面があるため、1人で残業代請求をするのであれば、弁護士に相談する手段が最もよいと言えます。

弁護士に無料で相談

弁護士でしたら、無料で電話相談を受けている事務所もあります。そこでなら、残業代請求についての細かい疑問にも答えてくれます。
また、弁護士は依頼者の代理人となり、内容証明郵便を利用して、会社の総務部等と残業代請求の交渉を穏便に進めてくれるのです。

・内容証明郵便とは

「誰が、誰宛てに、いつ、どんな内容の書類を出したのか」ということを郵便局が公的に証明する郵便です。
⒈ 書類を出したこと
⒉ 書類を出した日付
⒊ 書類の内容
を郵便局が証明してくれます。

弁護士へ無料電話相談をする際に気をつけるポイント

弁護士に無料の電話相談をする際には気をつけた方がよいポイントがあります。それは無料相談には時間制限があるということです。
多くの弁護士は最初の30分は無料で相談を受けていますが、それ以降は費用がかかります。このことから、弁護士に電話をする前に、30分でスムーズに相談出来るような準備をするとよいです。

証拠を準備しておくと話がスムーズ

円滑に話を進めるためには、残業をしたことが分かる証拠を手元に用意しておきましょう。
残業代を請求する際に、立証責任(確実な証拠で証明する責任)は請求者にあるからです。

→残業代の証拠になるものは、こちらの記事で詳しく説明しています。

近くの弁護士に相談するのがよい

電話での無料相談をすると、次いで具体的な話をするために、弁護士事務所に面談をしに行くこともあります。それを踏まえて、電話相談は、お住まい近辺の弁護士に相談をするのがよいでしょう。
また、面談であっても、最初の30分は無料で受けている弁護士事務所があります。このような事務所に行く場合、「いざ行ったが話が進まない」と無駄足になってしまうので、円滑に話が出来るように、証拠は準備しておきましょう。

弁護士費用について

書類にメモ

 以上のように、弁護士は初めの相談段階では無料のところが多いのですが、相談が長引いた場合や交渉を進めていく依頼となると費用がかかってきます。
 実際に弁護士費用はどのようなものがあるのか、以下に説明をしていきます。

➀相談料

 相談する時にかかる費用です。初めの30分は無料のところが多いですが、それを超える場合、「30分5,000円」といったように時間制の費用がかかります。

②着手金

 着手金とは、弁護士に正式に依頼した際に発生する費用です。残業代請求の交渉が成立した場合も、しない場合も発生します。
 また、無料相談ほど多くはありませんが、着手金無料にしている弁護士事務所もあります。

③手数料

 内容証明郵便を作成してもらう時にかかる費用です。弁護士によっては、着手金に含まれているケースがあります。

④成果報酬金

 残業代請求額からパーセンテージで発生する費用です。着手金が発生しない弁護士事務所は、成果報酬が高くなる傾向があります。

⑤実費

 弁護士によっては、実費がかかることがあります。
 弁護士の交通費や通信費、印紙代、コピー代等の残業代請求をする過程でかかった費用を、依頼者本人が負担をします。

⑥日当・タイムチャージ

 作業時間や拘束時間に対して支払う費用です。

弁護士費用の支払い時期

 弁護士事務所によって、費用の支払い時期が異なります。
 下記は、ある弁護士事務所の支払いのタイミングです。

相談料 法律相談前
着手金 受任時
手数料 受任時
成果報酬金 残業代請求額が依頼者の手元に届いた後
日当 交渉終了後

※こちらの弁護士事務所は、成果報酬金の支払タイミングが「残業代請求額が依頼者の手元に届いた後」ですが、他の事務所によっては「残業代請求額が依頼者の手元に届く前」ということがあります。
 成果報酬金だけでなく、その他の費用も弁護士事務所によってタイミングが異なるので、弁護士に依頼する前に支払い時期は確認した方がよいでしょう。

弁護士に依頼すると残業代請求の段取りをしてくれる

以上のように、弁護士事務所に依頼をすると費用がかかってしまいますが、それ以上に大きなメリットがあります。
それは、契約書や就業規則、タイムカード等の資料があれば、法的な視点から賃金に関する計算をしてくれるという点です。
そして、前項でも触れましたが、残業代の請求に関して、依頼者の代理人となり、内容証明郵便を利用して、会社の総務部等と残業代請求の交渉を、秘密で図ってくれるのです。

※残業代請求に強い弁護士はこちらから

穏便に未払い残業代を回収出来た話

 在籍中に残業代請求をするなら穏便に交渉を進めたいのが、多くの請求者の希望です。
 実際に、在籍中に穏便に残業代を回収した人の体験談がありますので、そのエピソードをご紹介します。

運送業Aさんの残業代請求体験談

トラック・運送

私は流通関係の会社で働いています。仕事内容は、コンビニ等に商品を届けるルート配送業をしています。今年で勤続15年、勤務態度は恐縮ですが、とても真面目でした。
 
私は、主にコンビニへの商品の納品が仕事ですから、まだ外が明るくなる前の午前3時頃には出勤し、トラックに積み荷をしてから、納品先を回っています。離れた場所を回るので、全ての納品先に荷物を届けて会社に戻る頃には、午後2時を過ぎています。
その後も、発注作業や翌日の準備をしなければいけないので、仕事が終わるのは午後4時頃です。

 私には、妻と小さな子供が一人いるので、家を購入するためのお金がもっと欲しかったのですが、勤続年数15年にも関わらず、給料はあまり上がっていません。ダブルワークを考えたこともありましたが、毎日の長時間労働と、休日が日曜日しかないこともあって、別の仕事をする程の時間の余裕はなく、困っていました。

 それでも「何とかしなくては」と思い、色々と調べました。
そんな時、ある弁護士事務所のホームページに未払い残業代請求が出来ると書いてあるのを発見しました。
「本当に残業代なんてもらえるのかなぁ」と半信半疑でしたが、なんとかしたい気持ちがあったため、弁護士事務所に無料の電話相談をしました。

 すると、弁護士さんから
「未払い残業の証拠を持って、うちの事務所に来てください。」
との指示を受けました。

職場にある3ヶ月分ほどのタイムカード、就業規則のコピーが取れたので、元から保管しておいた給与明細と一緒にそれらを持って、私は弁護士事務所に面談をしに行きました。

 弁護士さんは、私の給与明細等を見ながら
「労働時間が長いから、残業代が未払いになっている可能性が高いですね。一部でもいいので、証拠を基に残業代の計算をして、会社に未払い残業代の請求をしてみるとよいですよ。」
とアドバイスをいただきました。
 しかし、法律のことは自分でもよく分からないし、計算も難しいと思ったので、全て弁護士先生にお任せすることにしました。

依頼をしてから内容証明郵便を会社に出すまで、弁護士先生は、計算結果やどのような文面で送るか等、私とこまめにメールや電話で確認をしてくれました。
そのやり取りの中で分かったことですが、午後10時~翌午前5時までは時間外割増だけでなく、深夜割増も追加した計算になったりするそうで、私のように夜間働いていると、毎月の残業代が、毎月の給与と同じ金額となったことに、とても驚きました。
先生に依頼せずに自分で残業代の計算をして請求をしていたら、絶対に気付づきませんでした。

 先生が内容証明郵便を発送してから、会社からの返答がしばらくなく、このまま無視されてしまうのではないかと不安になりました。この最中も私は、請求先の会社にずっと勤務を続けていたし、このご時勢、なるべく転職活動はしたくなかったので、裁判になるような大ごとになって会社と荒波を立てたくはありませんでした。

 しかし、先生の粘り強い交渉のおかげで依頼して5ヶ月後、給与1年分ほどの金額で和解することになり、本当に嬉しかったです。

 今回請求をしたことで、働いてきた分がきちんと払ってもらえただけでなく、残業代の支払いがきちんとされるようになり、長時間の残業もなくなるほど会社の労働環境も改善されました。
 そして、心配していた会社との関係は今でも良好です。先生に相談して本当によかったです。

残業代に関する困りごとは弁護士へ相談を

支給されるはずの残業代を支払われずに働いている労働者は少なくありません。会社との関係を気にするあまり、支給されるはずの残業代を支払ってもらえない状況を我慢して、仕事をしている労働者は多いでしょう。

労働者にとって、残業代を支給してもらうことは権利です。 
そこで頼りになるのが「弁護士」の存在です。

法律のプロである弁護士なら、個々の状況に合わせて相談に乗ってくれるだけでなく、労働上で起きやすいトラブルを未然に防いでくれます。

労働トラブルに詳しい弁護士に事前に相談しておくのがおすすめです。

弁護士費用が不安な方は"弁護士保険"の加入がオススメ

弁護士に相談する前に、弁護士費用が不安な方はベンナビ弁護士保険の利用を視野に入れてみましょう。

あらかじめトラブル発生する前に弁護士保険に加入しておくことで、いざという時の高額な弁護士費用を補償してくれます。

弁護士保険なら月々2,250円〜加入できるベンナビ弁護士保険がオススメです。

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