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「営業職だから残業代が出ないのは当たり前」は全くのウソだった

更新日:2024年03月11日
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営業職の方はこのようなことを言われ、残業代が支払われていないケースは少なくないのではないでしょう。

「営業手当が付いているから残業代は出ないよ」
「外勤手当の中に残業代が含まれている」
「営業は労働時間内に休憩出来るから定時過ぎて働いても残業代はつかないよ」

 しかし、これらはケースによって違法の可能性があります。
 今回は、まことしやかに言われている「営業職だから残業代が出ないのは当たり前」を暴いていきたいと思います。

営業職の平均残業時間に見る残業の多さ

 はじめに、営業職の残業の多さを裏付けるデータに触れていきましょう。DODAが行った「残業時間の多い職種」調査によると以下のようなランキングになっています。

  職種 平均月間残業時間(時間)
1 ドライバー・配送スタッフ 44.8
2 広告営業&lt 41.9
3 スーパーバイザー/エリアマネージャー 40.9
4 クリエイター(Web以外) 39.4
5 小売/卸営業&lt 38.5
6 施工管理 37.8
7 建設/不動産営業&lt 35.8
8 回路/システム設計 32.9
9 サービス業営業&lt 31.9
10 ITコンサルタント 29.7

引用元:https://doda.jp/careercompass/yoron/20130820-6704.html

営業職が4職種もランクインしており、いかに営業職の残業が多いかをうかがい知ることが出来ます。
 さらに、ランキングに入っていないですが、以下の職種の営業も残業が多いことで知られています。

・金融業
・自動車ディーラー
・住宅メーカー
・生命保険会社
・人材派遣会社

残業時間が多い理由

 ではなぜ、営業職は残業が多いのでしょうか。それには営業職特有の性質が関係しています。

【理由1】接待による残業

 営業職に接待は付き物です。得意先に気に入ってもらえるよう、営業マンは顧客からの会食の誘いは出来るだけ断らないようにしなくてはなりません。
 会食等はたいてい夜に行われるため、残業を避けることは出来ません。盛り上がれば2次会まで開催され、終電近い深夜まで接待することは少なくありません。

【理由2】数字を達成するまで頑張る

 営業職は、業務の性質上、仕事の成果が数字にダイレクトに現れやすい職業です。そのため、目標数字に達するまでは帰れない、といった覚悟で仕事をしている方は少なくありません。その反面、残業時間が多くなってしまうことは否めません。

【理由3】外回りによる残業

 多くの営業マンは「日中は外回りで商談等を行い、その後帰社してデスクワークを行う」という働き方をしている傾向にあります。
普段のデスクワーク業務に加え、外回りで発生した突発的な業務に追われて、定時を過ぎて残業することは珍しくありません。

 しかし、上記の【理由1~3】のケースで残業をしているにも関わらず「営業職だから残業代が出ないのは当たり前」と思っている営業マンは少なくありません。
 もし次項でお伝えする「労働時間の基準」に該当するようであれば、サービス残業をさせられている可能性があるでしょう。

労働時間の基準とは

労働基準法32条では「労働者が使用者(会社)の指揮命令下に置かれている時間」を労働時間と定める、といった内容が記述されています。
つまり、「労働者が使用者(会社)の指揮命令下に置かれている」かどうかが労働時間の判断基準とされているのです。

 これを、営業職に当てはめると、「➀会社が行うように」「②会社から命令された場合や会社でせざるを得ない場合」の2つの条件が揃った場合に、労働時間と見なす、ということを示しています。
ちなみに、➀については必ずしも社内等である必要はなく、会社から場所の指定をされていれば条件を満たします。

→さらに労働時間の定義について知りたい方は、こちらで詳しく説明をしています。

労働時間の基準から見る営業職の残業

 前述の①②を基に、営業職の場合はどういった場合に残業に当たる可能性があるのかを見ていきましょう。

【残業1】接待

 得意先に気に入ってもらえるように行う接待には、仕事に繋げるという目的もあります。そのため、接待は②の「残業せざるを得ない場合」に該当する可能性が考えられます。

【残業2】数字を達成するまで帰れない

 会社から「絶対に目標を達成するように」等と言われ、目標数字を達成出来ず定時を過ぎて働く場合は、残業に当たる可能性があります。この場合、②の「会社から命令された場合」に当たる可能性は否定出来ないでしょう。

【残業3】外回り後のデスクワーク

 また、日中の外回りで進められなかったデスクワークを定時過ぎて行う場合も残業になる可能性があります。この場合は、②の「残業せざるを得ない場合」に該当する可能性があります。

【残業4】休日出勤

 接待や外回り等で忙しい営業職は、休日出勤をしなければならないケースも出てくるでしょう。しかし、休日出勤は、休日も働かなければならない状態である②の「残業せざるを得ない場合」に該当すると言えるでしょう。

 以上の【残業1~4】に該当するにも関わらず残業代が出ない場合は、違法に残業をさせられている可能性が考えられます。

営業職の違法残業

 また、営業職の違法残業には以下のケースもあります。

・手当を残業代の代わりにする
・事業場外みなし労働制の悪用
・歩合制の悪用
・残業の申請が出来ない

 それぞれ見ていきましょう。

手当を残業代の代わりにする

 営業手当や外勤手当等が支給される代わりに、サービス残業をしている営業マンは多くいます。しかし、手当は労働時間に対して支払われるものではありません。
会社から「手当が付いているから残業をしても残業代は出ない」と言われている場合は、違法に残業をさせられている可能性があります。

事業場外みなし労働制の悪用

 外回り営業をする営業マンは、労働時間の管理を行いにくい性質上、事業場外みなし労働時間制を導入している傾向にあります。
事業場外みなし労働時間制とは、実際に働いた時間ではなく、あらかじめ定めておいた時間を労働したものとみなす制度です。したがって、会社は事業場外みなし労働制を採り入れることで、労働者の労働時間の把握・管理をする必要がなくなります。

 事業場外みなし労働時間制は、近頃ニュース等で話題になっている裁量労働制のうちの1つであり、適用するには以下の条件が必須となります。

・労働者の労働時間の全部または一部を会社の外で仕事をしている場合
・上司等から具体的な指示を受けず、自身の決定で仕事をしていて、かつ会社からの監視がないために労働時間の算出することが難しい場合

 そのため、直行直帰だったり、出張等の社外勤務が多かったりする営業職に事業場外みなし労働制が適用されることが多いのです。
 しかし、事業場外みなし労働時間制は、以下のようなケースは適用されない可能性が考えられます。


・時間管理をする上司が同行する場合
・携帯電話やメール等で随時上司の指示を受ける場合
・帰社したら逐一報告をする

 以上の2つの場合が考えられるようであれば、違法に事業場外みなし労働時間時間制を適用されており、不当に残業代の支払いから免れられている可能性が考えられます。

歩合制による違法残業ケース

 歩合制とは、給料の一部が売上に連動して決められる制度を指します。歩合制を採用することで、「時間による評価」ではなく「売上による評価」の面が強くなります。
 とはいえ、仕事が長時間に及ぶ場合は、働いた時間分の残業代が支給されなければなりません。

残業の申請が出来ない

 定時を過ぎたのに残業の申請が出来ない、もしくは申請しにくいという理由で残業代が出ない場合も違法の可能性が考えられます。
 労働者は働いた分の賃金は支給される義務があります。申請出来ず不当に残業代の支払いがされていない場合は、違法に残業をさせられている可能性が考えられるでしょう。

対策方法

 これまでにお伝えしたように違法に残業をさせられている場合、労働者はどのような対策を取った方がよいのでしょうか。
次に挙げる3つをオススメいたします。

【対策①】仕事を効率化する

 残業をしないように仕事を効率化しましょう。
 インターネットで「営業 残業 しない」と検索をすると、無駄を省き仕事を効率的に行う方法について載っている記事を見られます。一例を挙げると、やることをリスト化する「ToDoリスト」等、仕事の効率化に繋がる様々な方法を知れるので、残業時間の削減に一躍買ってくれるでしょう。

【対策②】残業が少ない営業職に転職する

 営業職には残業が少ない業種も存在します。とりわけ以下のような、法人を顧客に持つ業種は残業が少ない傾向にあります。

◇メーカー
◇鉄道業界
◇電力会社
◇ガス会社

 上記の業種の営業職に転職するのも一案でしょう。

【対策③】残業代請求

 違法に残業をさせられている時間があまりにも多いようであれば、未払いの残業代を請求するのも一手です。
未払い残業代を請求するためには残業をした証拠が必要です。これは、立証責任(確実な証拠で証明する責任)が請求者にあるためです。
 営業職であれば以下のようなものが証拠になりやすいでしょう。

◇雇用契約書や就業規則等、給料・雇用に関することが記載された書類
◇タイムカード・勤怠記録
◇業務日報
◇パソコンのログ ※ログ取得方法はこちらの記事で見ることが出来ます。
◇メール・FAXの送信履歴

まずは、以上の証拠になるものを入手したうえで、こちらの記事「会社と荒波を立てずに残業代を請求する方法」を読んでみて下さい。残業代請求に向けてするべきことが理解出来るでしょう。

残業代に関する困りごとは弁護士へ相談を

「働き方改革」により、残業時間の削減が叫ばれています。
仕事の効率化に成功し残業時間を減らしている企業がある一方で、身を粉にして長時間働くことをよしとする、古い体質の企業が残っているのも事実です。数字で評価されやすい営業職は、その対象になりやすいと言えるでしょう。

あまりにも違法な残業を強いられているようであれば、残業代の請求をしましょう。

そこで頼りになるのが「弁護士」の存在です。

法律のプロである弁護士なら、個々の状況に合わせて相談に乗ってくれるだけでなく、労働上で起きやすいトラブルを未然に防いでくれます。

労働トラブルに詳しい弁護士に相談し、自分の身を守りましょう。

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