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残業代請求の流れ:相談先は労働基準監督署より弁護士の方がオススメ

更新日:2020年10月09日
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 いざ残業代請求をしようとしても、どのように進めていけばよいのか分からない方も多いのではないでしょうか。
 本記事では、基本的な残業代請求の流れについて伝えしたいと思います。

残業代請求の流れ

 残業代請求の流れは以下の通りです。

【流れ①】証拠収集

 まずは、残業をしたことが客観的に見て分かる証拠を収集します。これは、未払い残業代の請求者に立証責任(確実な証拠で証明する責任)があるためです。
 残業をした証拠になる資料は主に以下が挙げられます。

■労働契約書
■就業規則
■タイムカード
■勤怠管理表
■メール・FAXの送信履歴

 残業の証拠についてはこちらの記事『未払い残業代請求は「証拠集め」が肝心:証拠がない場合の請求方法も紹介』で詳しく説明をしています。併せてご覧ください。

証拠収集が難しい場合の「証拠保全」

会社が証拠の開示に応じてくれなかったり、退職済みで会社に行って証拠を集められなかったり等、証拠収集が難しい場合は「証拠保全」という手段が残っています。
「証拠保全」とは、裁判の際に使用する証拠をあらかじめ確保する手続のことをいいます。

【流れ②】内容証明郵便

 次いで、会社に内容証明郵便を送付します。

・内容証明郵便とは

「誰が、誰宛てに、いつ、どんな内容の書類を出したのか」ということを郵便局が公的に証明する郵便です。
⒈ 書類を出したこと
⒉ 書類を出した日付
⒊ 書類の内容
を郵便局が証明してくれます。

 残業代の請求権は、2年で時効が消滅します。未払いの残業代請求を行う方は、大抵、退職直前あるいは退職後ですので、時効の消滅が差し迫っているケースが少なくありません。

 そこで、時効消滅を中断させる効果がある内容証明郵便を行い、請求額が減らないようにするのです。内容証明郵便で「催告」を行うことで時効を6ヶ月間中断させることが出来ます

【流れ③】未払い残業代の計算

 続いて収集した証拠を基に、未払いの残業代の計算を行います。請求を行うためには、未払い額を確定させる必要があるためです。
 残業代の計算方法についてはこちらの記事「残業代の計算方法:基本給の計算式から手当の除外までを徹底網羅」で詳しく説明をしています。併せてご覧ください。

【流れ④】任意交渉

 証拠を集め、内容証明郵便で時効の中断を行ったら、事前準備は完了です。いよいよ残業代請求を行っていきます。
 まずは、任意交渉を行うのが通例です。残業代請求における任意交渉は、未払いの残業代を支払ってもらうよう、会社と直接交渉を行うことを指します。

【流れ⑤】労働審判

 任意交渉で未払い残業代問題が解決しなかった場合は、労働審判を行います。
労働審判は、裁判所の行う紛争解決手続の一つです。解雇や残業代請求等の労働紛争について、裁判官1名と労働関係の専門的知識と経験を持っている労働審判員2名で構成される労働審判委員会が、原則として3回以内の期日で事件を審理し、調停を試み、または審判を行う制度です。換言すると3回以内の期日で、両当事者から直接、自由に事情を聞いて、和解(金銭的解決)を目指す手続です。

【流れ⑥】訴訟

 労働審判が順調に進まなかったり、交渉段階で決裂したりした場合は、訴訟を起こします。訴訟は、裁判所に訴えて、権利や義務の法律的確定を求めることを指します。
 訴訟は長い期間を要し一定の費用がかかるため、最終手段と言えます。ただ、確実に残業代を回収したい場合には有効な手段と言えるでしょう。

自身で残業代請求をするのは負担が大きい

 残業代請求と一口に言っても、以上のようにいくつもの段階を踏む必要があります。そのため、多くの時間や精神的疲労等、大きな負担が生じます。
 残業代請求については相談先があります。そこに相談するのも一手です。

労働基準監督署と弁護士の対応の違い

 残業代請求の相談先として代表的なのが労働基準監督署と弁護士です。では、両者にはどのような違いがあるのでしょうか。

労働基準監督署

 労働基準監督署は、労働基準法に違反している会社を是正する役割を担っています。違法労働が頻出している事実が発覚した場合は、会社に対し行政指導を行います。

 但し、労働基準監督署は残業代請求の代行までは行っていません。労働基準監督署はあくまでも、「自身で請求を行うための相談機関」として捉えておいた方がよいでしょう。

弁護士

 対して、弁護士は証拠収集のサポートをはじめ、証拠保全の手続き、内容証明郵便の作成・発送等の事務作業の代行等も行ってくれます。また、任意交渉や労働審判、裁判についても請求者の代理人として矢面に立って交渉してくれます。法的根拠に基づいた主張をしてくれるため、自身で行うより説得力があります。言うまでもなく、残業代の回収の可能性も高くなることが期待されます。
 弁護士は、「残業代請求の代行機関」として捉えておくとよいでしょう。

弁護士への相談がオススメ

 前出のとおり、弁護士は法的知識が豊富です。そのため、証拠の集め方、これからするべきこと等を、相談者の状況に合わせてしっかりアドバイスしてくれるでしょう。
 スムーズに残業代請求の手続を進めていきたいのであれば弁護士への相談がオススメなのです。

弁護士に依頼するまでの流れ

弁護士への相談を検討している方の中には、「相談をしたら依頼しないといけなくなりそうだから、弁護士にコンタクトを取るのに躊躇する」という方も少なくないのではないでしょうか。しかし、「相談」=「依頼」ではありません。
 というのも、弁護士に依頼するまでの流れが以下のようになっているためです。

①電話やメールで問い合わせる
②弁護士事務所で面談し、相談者の状況を把握した上で解決方法を提案
③弁護士との費用について相談
④費用について、相談者と弁護士、双方が納得いけば契約
⑤弁護士による残業代請求手続の代行開始

 相談者の意向を尊重した上で、依頼と交渉を進めていきます。弁護士に依頼をすると、裁判沙汰になるのではないかと考える方もいかもしれませんが、その限りではありません。交渉がスムーズに進めば任意交渉で解決するケースもあります。

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