長時間労働に苦しみ、会社のストレスで体調を崩し、近年このような問題を抱えながら仕事をしている方は少なくありません。
そんな悩み相談に耳を傾け、解決に動いてくれるのが労働基準監督署です。
とはいえ、「相談をしても動いてくれない」と嘆く相談者は少なくありません。そんなお困りの方に向けた、「動かない」労働基準監督署を「動かす」相談方法についてお伝えいたします。
労働基準監督署とは厚生労働省の出先機関であり、労働基準法を著しく守れていない企業を監視・指導をする役割を担っています。厚生労働省の下部組織である都道府県労働局(全国47か所)のさらに下部組織として、全国に300か所以上設置されています。
では、労働基準監督署にはどのような内容を相談出来るのでしょうか。
労働基準法に従って企業を監督する労働基準監督署は、以下の内容を相談出来ます。
□給与や残業代、退職金の未払い
□月の残業時間が80時間を超える等の長時間労働
□安全への配慮が不十分な危険を伴う現場作業
□労働条件が雇用契約と異なる
□突然の会社倒産
□休日が少ない
□有給休暇の取得が出来ない
□不当な解雇・懲戒処分
□不当な減給・一方的な減給
以上のケースの他にも、「この場合は相談出来るのか」という疑問をお持ちの方もいるかもしれません。そのような方は「労働者が労働基準監督署に相談出来る内容とは?」を併せてご覧ください。疑問が解けるかもしれません。
以上のような内容が相談出来るものの、1つの情報提供として処理され、労働基準監督署が解決に向けて動かないケースもあります。
労働基準監督署は、相談内容が労働基準法違反かどうかを証拠から判断します。そのため、明確な証拠がない相談は断られる可能性が考えられます。
例えば、残業代の未払いがあったとします。何も準備せず労働基準監督署に「残業代の未払いがあります」と相談をしても「会社に未払い分の残業代を請求してみてください」と一蹴されてしまう可能性があります。
以上のようなケースがあるため、労働基準監督署に動いてもらうためにはコツがいります。
ここからは、対応してもらうような労働基準監督署への相談方法の流れをご説明させていただきます。
まずは、労働基準法違反である事実が労働基準監督署に分かるように証拠を集めましょう。必要になる証拠は相談内容によって異なります。
■給与や残業代等、賃金の未払い
・雇用契約書
・就業規則
・賃金規定
・給与明細
■残業時間
・タイムカード
・シフト表
・業務日報
・パソコンのログ
・メールやFAXの送信履歴
■不当な解雇・懲戒処分
・解雇通知書
・解雇や懲戒処分を明示しているメール
■労働条件に関するトラブル
・雇用契約書
・給与明細
■有給休暇が取得妨害
・社内規定をコピーしたもの
・出勤日数や有給休暇の消化状況等が記録されたもの
・取得妨害をされたことが分かるメールや音声等
■パワハラやセクハラ
・パワハラやセクハラ行為が分かるメール
・ICレコーダーやスマホ等で録音した音声
・スマホ等で撮影した動画
・被害が確認出来る診断書
相談をする内容を整理しておくと労働基準監督署の窓口でスムーズに話を進められます。それにより、適切な解決策を案内されやすくなります。
具体的に以下を整理しておきましょう。
・どのような内容なのか
・いつから問題が起きているのか
・どのような被害が発生しているのか
流れ①~②の準備が完了したら労働基準監督署に相談をします。この相談する行為を告発といいます。
告発方法には次の3つがあります。
・電話
・メール
・窓口
電話で相談をしたい場合は、労働条件相談ほっとライン(TEL:0120-811-610)に電話をしましょう。
労働条件相談ほっとラインとは、違法な時間外労働や過重労働による健康障害、賃金未払い等、労働に関する問題について、専門知識を持った相談員が電話でアドバイスを行う機関のことをいいます。
全国どこからでも無料で利用出来ます。
受付時間は月・火・木・金曜日の17~22時、土・日曜日の10~17時です。平日の日中が仕事の方にも対応出来るような時間帯を受付時間にしています。
電話での相談は解決方法等のアドバイスをもらえるのみです。ですので、労働基準監督署に調査や是正勧告を行ってもらうためには、電話したのち、監督署の窓口に出向く必要があります。
メールの場合は、厚生労働省が設けている労働基準関連情報メール窓口の送信フォームから相談をしましょう。メールですので時間を問わず送信可能です。
但し、送られてきた相談内容は、労働基準監督署が立ち入り調査をするための参考資料として活用されるに留まります。メールをきっかけに是正勧告等を行う可能性は低いと言えるでしょう。
動いてもらいたい場合は、やはり直接労働基準監督署に出向かなければなりません。
労働基準監督署は全国に321署あります。労働基準監督署の窓口で相談をする場合、基本的には会社の所在地を管轄している監督署に行きましょう。
ただ、労働基準監督署の窓口の受付時間は平日の8:30~17:15です。平日の日中働いていてビジネスマンは、会社を休む等の都合をつけて、窓口へ向かう必要があります。
告発方法①~③は、匿名ですることが可能です。ですが、実名と連絡先を明らかにした告発が優先的に対応されます。匿名で受け付ける体制もありますが、信憑性があり悪質なものでないと対応されない傾向にあります。
告発するのであれば、やはり実名の方がよいでしょう。
では告発をし、労働基準監督署が対応をする場合どのような動きになるのでしょうか。基本的には以下のような流れで動きます。
(1)法律に則った具体的なアドバイスをされる
↓
(2)調査員が会社に立ち入り調査
↓
(3)違法があった場合は指導や是正勧告
↓
(4)従わず、悪質性が高い場合は逮捕
(1)については前述しているので、(2)~(4)を1つずつ見ていきましょう。
(2)調査員が会社に立ち入り調査
労働者からの相談や申告に会社の違法行為が疑われる場合、調査員が事実確認のために会社に立ち入り調査を行います。立ち入り調査では賃金台帳等の資料のチェック、経営者や労働者へのヒアリング調査が行われます。
(3)違法があった場合は指導や是正勧告
立ち入り調査により違法があった場合は是正勧告が行われます。
(4)従わず、悪質性が高い場合は逮捕
是正勧告後、「再監督」という再立ち入り調査で、改善が見られない場合、経営者や会社への罰則が与えられることになります。
とはいえ、実際に罰則を受ける会社はごく一部です。
平成27年のデータを見ると、『労働基準監督署へ労働者からの申告件数は26,280件です。その内、調査や是正勧告等が行われたのは22,312件、そこから書類送検されたのは996件』(『http://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/suishin/meeting/wg/roudou/20170316/170316roudou02.pdf
』)です。申告件数に対して書類送検されたのは僅か3.6%なのです。
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労働基準監督署は人命に関わりのあるものを優先します。
そのため、悩みを報告しただけでは動いてもらえません。証拠を集めて窓口で告発することで「動かない」労働基準監督署を「動かす」ことが期待できます。
しかし、有効な証拠がなく告発できないという方もいらっしゃるでしょう。
そこで頼りになるのが「弁護士」の存在です。
法律のプロである弁護士なら、個々の状況に合わせて相談に乗ってくれるだけでなく、有益な証拠集めの方法や労働上で起きやすいトラブルを未然に防いでくれます。
労働トラブルに詳しい弁護士に事前に相談しておくのがおすすめです。
弁護士に相談する前に、弁護士費用が不安な方は弁護士保険ミカタの利用を視野に入れてみましょう。
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2019年07月02日 古閑 孝 (弁護士)アドニス法律事務所
2019年07月02日 残業代請求弁護士ガイド 編集部
2019年07月02日 残業代請求弁護士ガイド 編集部
2019年07月02日 古閑 孝 (弁護士)アドニス法律事務所
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