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残業代請求の「勝率が高いケース」と「勝率を上げる方法」

更新日:2020年10月19日
残業代請求の「勝率が高いケース」と「勝率を上げる方法」のアイキャッチ

 残業代請求を検討している方の中には、「請求しても残業代を回収出来ないのではないか」と不安に感じている方は少なくないのではないでしょうか。
 この不安は、どんな場合に残業代の回収が可能なのかを把握していないところからきているのかもしれません。

 そこで今回は、

・勝率が高い残業代請求
・勝率を上げる方法

の2点を中心にお伝えいたします。

勝率が高い残業代請求

 勝率が高いケースは次の2つが挙げられます。

【勝率が高い①】名ばかり管理職

 名ばかり管理職とは、十分な権限や待遇を与えられていない労働者が労働基準法で定められている管理監督者として扱われている管理職のことをいいます。

 つまり、労働基準法で規定されている管理監督者でなければ、管理職扱いしてはならないのです。管理監督者の規定は次の4つの観点から決められます。

・一定部門などを統括する立場である
・会社の経営に関与している
・労働時間や仕事量を自身でコントロール出来る
・給与面で優遇されている

 上記のように明確な規定があることが、残業代の勝率を高めている要因であると考えられます。上記の条件に当てはまらない名ばかり管理職の労働者に対して、会社は残業代を支払わなければなりません。
 部長や課長、店長等に名ばかり管理職が多い傾向にあります。

 過去の判例では、肩書きは管理職でも勤務実態は管理監督者とはほど遠いとして、残業代の支払いを命じられた会社は多いです。

【勝率が高い②】みなし残業代制による残業代未払い

 みなし残業代制とは、実際の労働時間に関わらず、あらかじめ決められた時間分の”みなし残業代”を支払う制度のことをいいます。
 事前に決められたみなし残業時間分を超えて残業をしているにも関わらず、残業代が支払われない場合は違法の可能性があります。
 そのため、以下に該当するようであれば、未払いの残業代があるかもしれません。

・みなし残業代を支払っているから別途の残業代は支払えない
・みなし残業時間以上の残業をしているにも関わらず毎月給与が一定である
・役職手当が残業代の代わりになっている

 以上のいずれかを理由で残業代が支払われていない場合、残業代請求の勝率は高いです。

残業代請求の勝率を上げる方法

 とはいえ、以上に挙げた2ケース以外でも残業代が未払いになるケースはあります。その場合、残業代請求の勝率を高めるためにはどのような方法を採ればよいのでしょうか。次の2つが考えられます。

【方法①】証拠を集める

 残業をしていた事実を立証出来る証拠を持っていると、残業代請求の勝率が高まります。「労働条件を示す物」あるいは「残業時間を示す物」が残業をした証拠になります。

労働条件を示す物

 労働条件を示す物として次の書類が挙げられます。

・雇用契約書
・終業規則
・シフト表
・給与明細

 上記の書類を写真に残したり、コピーしたりした物も証拠になります。

残業時間を示す物

 続いて、残業時間を示す物についてお伝えします。

・タイムカード等の勤怠記録
・シフト表
・業務日報・日誌(上司からのサインや印鑑等が記載されていれば、より強い証拠になる)

 上記の物が残業時間を示す証拠になります。但し、それらは証拠にならない場合もあるのです。というのも、勤怠記録やシフト表は会社に改ざんされる可能性があります。また、日報や日誌は正確に書かれていないこともあるため説得力に欠けてしまう可能性は否定出来ません。
 ですので、以下のものが証拠にあると、なおよいでしょう。

・勤務時間と業務内容を記録した手帳(1分単位で記録したものの方がよい)
残業時間計測アプリ
・家族に帰宅を知らせるメール・LINE
パソコンのログ記録
・会社用メールの送信記録
・FAXの送信履歴
・セキュリティカード、交通系ICカードの使用履歴

【証拠を持っていると勝率が上がる理由】

・会社に「残業した事実はない」と一蹴されても、残業をした証拠を示すことで反論が出来る

・客観的から見ても残業した事実が分かるため、弁護士等の専門的知識を持っている人に頼みやすい

【方法②】残業代請求に強い弁護士に依頼する

 残業代請求に強い弁護士に依頼すると勝率は高くなります。その理由は2つあります。

会社に圧力をかけられる

 依頼をすると、弁護士が代理人となって残業代請求の交渉を行います。すると、会社は「弁護士を立てるほど請求に本気なんだ」「弁護士が相手だから真摯に対応しなけらばならない」と考えます。
つまり、弁護士に依頼をすることで会社に圧力をかける効果があるのです。結果、請求者側が優位に立って交渉を進めていける可能性が高くなります。

経験が豊富

 残業代を請求するためには、次のような手順を踏まなければなりません。

・証拠の収集
・各書類の作成
・残業代の請求金額の計算
・会社と交渉(交渉で残業代の回収が不可能だった場合は労働審判や裁判を実行)

・労働審判とは
会社との間のトラブルを解決するために、裁判よりも簡単な、裁判所で行う手続のことを指します。

以上の手続きをスムーズに行うためには専門的知識や経験が欠かせません。
そんな際に、残業代請求に強い弁護士に依頼をすると心強いです。過去に残業代請求に取り組んだ実績があり、受けた案件に対してどのような進め方をすれば残業代を回収出来るのかを熟知しています。そのため、残業代請求の勝率が高くなるのです。

終わりに

 残業代請求には勝率が高いケースがある一方で、下記のような請求方法を採れば回収に失敗する可能性があります。

・証拠を一切集めない
・残業代請求の手続を自分で行う
・残業代請求に強くない弁護士の手続きを依頼する

請求には時間と労力がかかります、せっかく請求をするのであれば本記事で紹介した勝率を上げる方法を実践して残業代請求を行いましょう。

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